なぜ柏レイソルは中村航輔を輩出できたのか? GKを育てる独自の取り組みとは

2018年09月06日

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【トップチームでGKコーチを務める井上敬太氏】

「キーパー」とは呼ばないで

――日本の子ども達の身長も大型化してきていますが、運動能力向上のために、どのようなトレーニングをしていますか?
 
「ジュニア年代では、バスケットボールや野球などサッカー以外のスポーツの練習を取り入れています。よくある、サイドからコーチがクロスボールを蹴って、ゴール前でキャッチする練習をするのと、バスケットボールのように、常に頭上にボールがあって、落下地点を予測して、相手との競り合いのある試合を5分なり10分なりするのと、どっちがいいんだろうと考えたんです。野球のボールをキャッチしたり、相撲をとって、コーチとぶつかる練習をしたこともあります。ゴールキーパーには、相手とぶつかりながらボールをキャッチするプレーもありますからね」。

――ジュニア年代のゴールキーパーを指導するときに、どのようなところに気をつければ良いでしょうか?

「ゴールキーパーをしている子を『キーパー』と呼ばないであげて欲しいんですよね。試合中に『キーパー(前に)出てこいよ!』『キーパー、なんとかしろよ!』ではなく、ゴールキーパーの子には名前がありますよね? フィールドプレーヤーには『右サイドバック』や『フォワード』とポジションでは呼ばないのに、ゴールキーパーだけは『キーパー』とポジションで呼ばれて、名前を呼ばれないことが多いんですよね。これは、とくに年代が下がれば下がるほど、意識してあげてほしい部分でもあります」

――それはゴールキーパーコーチならではの視点かもしれません。フィールドのコーチは気づかないというか、無意識に言っていますよね

「それと、ワールドカップを見てもわかるように、ゴールキーパーのミスは失点に直結するので目立ちます。ミスを指摘するのは簡単ですが、一方で良いプレーをしたときには『ナイスプレー!』と褒めてあげてほしいと思います。そして、その選手が何をしようとしてミスをしたのか。そこをしっかり見てあげてほしいと思います。その選手なりに、意図があってそのプレーをしたはずなんです」

――例えばゴール前の1対1の状況で、ゴールキーパーが良いタイミングで前に出た結果、相手のシュートが枠から外れることがあります。実はそれも「ナイスキーパー!」ですよね。

「おっしゃる通りです。日本のキーパーを変えるためには、実はそういうところから始める必要があるのかなという気はしています」

――ゴールキーパーを好きになり、やってみたいと思う子どもが増えるためには、憧れられる「スターキーパー」が必要です。日本代表には川口能活選手、楢崎正剛選手、川島永嗣選手というスターの系譜があり、いまはそこに中村航輔選手が名前を連ねようとしています。

「それはすごく感じますね。セレクションの時に面談をするのですが、以前までは『好きなゴールキーパーは誰ですか?』と聞くと、ほとんどが外国の選手や日本代表の選手でした。でもいまはほぼ全員が『中村航輔』と言います。近隣のジュニアの子たちを見ていても、いままであればフォワードをやっているような運動能力の高い子がゴールキーパーをしている姿を見かけることがあり、勝手に中村航輔効果だと思っています(笑)。スクールなどで子どもたちが『中村航輔!』と言いながらシュートを止めている姿を見たりすると嬉しいですし、指導者冥利に尽きますね」

――第二、第三の中村航輔を輩出するために、なにが大事になりますか?
 
「まずはタレント発掘です。ハートのある選手をどうやって見つけるのか。それはすごく大切だと思います。指導者としては、目の前の選手とどれだけ真剣に向き合うか。どんな指導者もみんな必死に、真剣に指導をされていると思いますが、監督に対してGKコーチがゴールキーパーのプレーを説明したり、自分が指導している選手がミスをしたときに『いまはこういう取り組みをしている時期なので』と、フォローすることも大切です。日本のゴールキーパーを変えるためには、指導しているGKコーチが変わらなければいけないと、自戒を込めて感じています。試合中に起きたミスを選手のせいにするのではなく、課題を共有して、心を通じ合わせて取り組むことが大切なのだと思います」

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