優れたサッカー選手=監督の指示を再現できる選手ではない
2018年10月24日
コラム相互作用の能力がパフォーマンスを左右させる
ファエン(2009)らは、判断とアクションのプロセスを理解するため に「アフォーダンス」(環境が人間に与える「意味」)のカギであるいくつかの特徴を収集している。これらのアクションのファシリテーターは存在論の一部を形成し、エネルギーの刺激のパターンにおいて特性を持つことがある。
さらに環境固有のものではなく、環境と選手の関係次第である。その他の重要な特徴は認識とアクションの間にある相互関係である。つまり実行(テクニックとフィジカル)と判断(戦術)を分けて行なった体験には、両者の相互フィードバックの連続は期待できない。
このように、古典的に考えられているような、アクションと決断を単純なプロセスで考えるのではなく、条件づけされた絶え間ない相互関連にある2つのプロセスとして考えるべきである。常にそれぞれの選手の視点、選手の特徴、環境との相互作用の可能性からアクションの可能性を理解しなければならず、トレーニングにおいては個人の特性を踏まえることを尊重しなければならない。
これらのことから、基本的に選手のアクションの能力を向上させるのみならず、より効率的で、その環境で相互作用をできる限り効果的に利用する能力が重要になるだろう。しかしそれを可能にするために、生態環境と同様にそれらのプロセスの自然さを重要視するべきである。
このように、インテグラル(総合的な)メソッドの多くは試合において存在する要素を加えるとしても、環境と選手が相互作用するプロセスには重要性を置かず、選手のアクション能力を向上させることはあるだろうが、競争環境において効率的かつ効果的な相互作用を発生させる能力は向上しないだろう。そしてこの相互作用の能力こそがパフォーマンスを左右するものなのだ。
おそらく他のスポーツでは時間と空間要素の不確実性が低いため、この相互作用の能力は重要視されず、スポーツ選手がプレーに合わせ てアクションを発揮しやすいだろう。一方でサッカーにおいて起こるアクションの特徴である不確実性の高さによって、環境特性の変化に適応する能力がない選手は試合においてアクション能力を活かすことは難しいだろう。
<関連リンク>
・サッカーにおける「スピード」の定義とは? 足の速さだけが「スピード」ではない
・サッカーは“個人競技”ではない。「良いプレー」とは何か
ラファエル・ポル
1987年、スペイン生まれ。スペインの体育大学であるINEFで学士課程を習得。その時に書いた卒業論文が、バルセロナフィジカルコーチの権威とも言われるパコ・セイルーロの目に止まる。24歳の時には、ルイス・エンリケがセリエA・ASローマの監督に就任すると同時に、フィジカルコーチとして招聘され“チーム・エンリケ”の一員となる。セルタを経て、2014年からFCバルセロナのフィジカルコーチに就任。2014-15シーズンは、リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの三冠獲得に貢献した。
【商品名】バルセロナフィジカルトレーニングメソッド
【価格】2,484円(税込)
【著者】ラファエル・ポル
【翻訳】坪井健太郎
【監修】小澤一郎
インテンシティーを重んじる現代サッカーに必要なスピードとパワーを強化する「フィジカルトレーナーは、フィジカルトレーニングの実行と関連する人間の動きの原動力と生物学的プロセスの専門家として、選手とチームに期待する適応が発生するためにトレーニング計画に協力するべきである」
「サッカーにおけるスプリントの必要性は、直線を走ることよりも方向を変えることに特徴づけられている」
「トレーニングプロセスにおいて判断(戦術)のプロセスと、アクション(技術とフィジカル能力)のプロセスを分けて考えることは間違っている」
「ジムのマシーンでのトレーニングは、選手のコーディネーションのパターンを尊重しておらず、結果的に多くの支障をもたらす」
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。
- 【第37回全日本少年サッカー大会】三重県大会 決勝レポート「最後まであきらめない気持ちで試合終了間際に得点した、大山田サッカースポーツ少年団が優勝!」
- 【ダノンネーションズカップ2014 in JAPAN】決勝大会 大会フォトギャラリー