ボールにふれずに試合が終わって 「サッカーが楽しい」と思えるか? 練習メニューを決める前に考えたいこと
2018年11月14日
サッカー練習メニューアップ→メイン→最後のゲーム形式へ
では、実際どのように具体的にトレーニングへと落とし込むべきでしょうか?
毎回トレーニングでは1つのメインテーマをもとにアップからメイン、ゲームへとつなげて考えます。ここでは3〜4年生向けの事例を挙げて、トレーニング考案の方法を紹介してみたいと思います。
テーマは細かくなればなるほど狙いがぼやけて、選手に届きずらくなります。だからと、いつも同じでは子どもたちも飽きてしまいます。詳しくは、上の写真の年代別に習得すべきスキルを参考にしてみてください。
今回は1対1をテーマに考えてみます。
3〜4年生は競争への強い関心を示す性質があることから1対1のベース作りに力を入れるべき時期です。注意点はミスばかりを指摘し、消極的なプレーが染み付かないようにケアすることです。また、トレーニングはできる限り全体の構成をいじらずにアップからメイン、最後のゲーム形式へとつながるようにしておくことを推奨します。練習と練習の合間にマーカーやコーンを置き換えたりする時間が長いと、当然子ども の集中力も途絶えがちになるからです。
さて、必ずしもアップはルーティンワークのようにいつも同じ練習をする時間ではなく、体と頭を動かして、心身ともにメインへとつながる準備をする時間です。そして、メインに必要な動きをこの段階で取り入れていくことで、スムーズに移行する下地を作ることができます。
ここではマーカーを使ったシンプルなドリブルとパスを受けてのターンなどを取り入れています。マーカードリブルでは、ただ「もっと速く」「細かいタッチで」と曖昧に伝えるだけではなく、「ターンの際には2タッチで」「ボールをへその下に置きながらドリブル」というように具体的な指示で選手たちの意識を高めましょう。
Bがボールを持ち、Aとパス交換。Aは自分のタイミングで左右どちらかのマーカー間をターンして通り、ゴールを目指す。BはAがターンで抜けた反対側のマーカー間を通ってDFをする
メインでは、説明を長くするよりもどんな練習かを実際にやらせてみせてください。どういう流れで、何をする練習なのかという形が見えてきたら、一度ストップし、強調したいポイントについて言及します。
このメインで特に重要なのがシュートまで持ち込み、決めることです。どんなにターンが滑らかでもそこからスピードが上がらずにDFに守備の機会を与えてはゴールには近づけません。また、DFをフェイントで交わしたいからとわざと追いつかれようとする選手もいますが、そうしたときは「サッカーで一番大切なのは何だろうか? 相手を何度も交わすことかな?それともゴールを決めることかな?」と問いかけることが大切です。同時に「ターンしてから5秒以内にシュート」というルールを加えることで、必然的に真っ直ぐゴールに向かわざるを得ない環境を作ることも大事です。
例えば、チーム対抗戦で「5分間で一番多くゴールを決めたチームが勝ち」という形にすると、ゴールに対するこだわりも必然的に上がってくるはずです。
練習の最後には、できるだけミニゲームの時間を多く割いてほしいと思います。ただ「よし、最後は自由にミニゲーム」といって投げ出してしまうと、その日やった練習内容すべてが完全に頭から抜けてしまうことがあります。
ミニゲーム前に今日取り組んだことは何だったのかをあらためてたずね、どうすればそれをゲームの中で使うことができるのかをそれぞれに考えさせる時間を作りましょう。とはいえ、要求のやり過ぎには気をつけてください。指導者は30分間のミニゲームで数回でもイメージ通りのプレーが見られたら十分だという認識でいてください。
そうしたプレーが出たときは「素晴らしい。パーフェクト!」と全力で褒めてあげるのもポイントです。ポジティブなフィードバックは間違いなく選手を積極的にさせますし、それを聞いた他の子どもたちも「俺だってやれる」と大きな刺激を受けます。
「サッカーをしよう」というシンプルな視点で「技術」「戦術」「フィジカル」「メンタル」「思考力」という基本要素に取り組み、そこから少しずつ深く掘り下げていく。育成年代ではそうした積み重ねが何よりも大事なのです。
<プロフィール>
中野 吉之伴(指導者/ジャーナリスト) twitter@kichinosuken
1977年、秋田生まれ。 武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成年代指導のノウハウを学ぶためにドイツへ渡る。現地でSCフライブルクU-15チームでの研修など様々な現場でサッカーを学び、2009年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)。2015年から日本帰国時に全国でサッカー講習会を開催し、よりグラスルーツに寄り添った活動を行う。 2017年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」を配信スタート
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 【AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024】U-17日本女子代表メンバー発表!2024.04.15
- 「JFAナショナルトレセンU-12関西」が開催!2024.04.11
- 「東北トレセンU-13」が開催!2024.04.10
- 【AFC U23アジアカップ カタール2024】U-23日本代表メンバー発表!2024.04.08
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.17
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.17
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.17
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.17
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.17
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- 【AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024】U-17日本女子代表メンバー発表!
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- 自分よりも大きくて速い選手も1対1で抑える。内田篤人から学びたい守備時の姿勢【フィジカルのプレーモデル】
- ジュニア年代にも大切なトップ選手の共通点は?“自重コントロール”の重要性【フィジカルのプレーモデル】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 興味と探求心を育む松井大輔の指導「個人戦術を身につけることができれば…」横浜FCスクール初指導で子どもたちに伝えたこと
- 「俺、プロだったけど下手になってる」松井大輔が痛感。横浜FCスクール初指導に密着、子どもたちへの指導の狙いとは
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 栄養も食事量も“バランス良く”/小学校1・2年生向けの一日の食事例
- 「2023ナショナルトレセンU-14 (後期)」参加メンバー発表!【東日本】