ボールにふれずに試合が終わって 「サッカーが楽しい」と思えるか? 練習メニューを決める前に考えたいこと

2018年11月14日

サッカー練習メニュー

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ボールにふれずに試合が終わって 「サッカーが楽しい」と思えるか?
 
 では、ゴールを使ってシュート練習ばかりすることが求められるのでしょうか?「日本には決定力がない」「本格的なFWが少ない」という声を聞きます。決定力を向上させるためには、「どんなところに着手しなければならないのか?」という質問に対して、ベルント・シュトゥーバーは次のように答えてくれました。

「日本の現状を考えると、単純な質問だ。まずそれぞれのグループを小さくすること。そうすることでゴールに向かったプレーとゴールを守るプレーの本当の機会を増やすことができる。1チームに80人がいて、ゴールの数も満足にないのが普通なのかもしれない。しかしそれでは、どうやってゴールを使った練習をすればいいか分からないようだ。

 毎回ゴールを使った練習を取り入れる。あるいはミニゲームでトーナメントをやるとする。総当たりでも構わない。大事なのは、誰が勝ったのかをはっきりさせることだ。勝負となれば、勝者と敗者が出る。その差を分けたのは何なのかを知らなければならない。そういう環境で『ゴールが決定的に重要なんだ』と学ぶんだ。パスが大切だとか、ドリブルが必要だとか言う話ではないんだ。ゴールが大事なんだ。ゴールにつながるプレーにつながらなければならないんだ。

 トレーニングについても、大切なのはグループを小さくすること。6〜8人、多くとも10人のグループでシュート練習ができるようにしなければならない。5対5の練習をすれば、同時に守備のスキルも鍛えられる。パス練習だけ、ドリブル練習だけやってもダメなんだ。それらを結び付けるのはいつでもゲームだ。それが一番シンプルな答えだよ」
 
 この言葉には、大きなヒントが詰まっています。ゴールを使う練習=シュート練習ではありません。サッカーは攻守が絶えず入れ替わり、攻撃も守備も同じくらい大切です。そして、試合で起こる現象が一番色濃く出るのがミニゲームです。その中でシュートというゴールを生み出すための攻撃プレーとそれを守るための守備プレーに自然と取り組む環境作りが重要であり、様々な要素を包括的に取り組んだトレーニングを考慮することが大切になります。
 
 ミニゲームを効果的に行う上で考慮されなければならないのがピッチサイズです。子どもたちにはそれぞれの年代に応じて、頭で処理できる人数と広さがあります。一般的に、小学3〜4年生でも無意識に思考が向くのは「自分」「ボール」「ゴール」くらい。味方や敵を意識して瞬時にプレー判断をするのは難しいことなのです。だから、子どもが全体を見渡せるフィールドの広さでないと、攻守に動き回ることはできません。大きさと人数が最適であれば、子どもは足を止めることなく連続したアクションに取り組んでいきます。

 少し話は変わりますが、日本では小学校低学年でもハーフコートサイズで試合が行われると聞きます。しかし、そのサイズは彼らにとって適切なものかというと疑問を抱かざるを得ません。サイズが不適切かどうかは、それぞれの選手にどれだけのボールコンタクト、アクションへの関わりが見られるかでわかります。ほとんどボールに触ることなく、試合が終わってしまったら 「サッカーが楽しい」と思うでしょうか?
 
 ドイツでは、小学校低学年ではフルコート4分の1ほどのピッチサイズでの5対5が一般的です。DFBによると「この年代はサッカー選手としての入り口。それ以前からサッカーをやってきた子もいれば、始めたばかりの子もいる。そのため、結果だけでメンバー選考されるべきではない。どの子も試合に出るべき。ただし、すぐに注意力が散漫になるので、間違っても大きなフィールドでプレーさせてはならない」と示しています。
 
 小学校中学年でも35m×55mサイズでの7対7。DFBは「この年代からサッカーがただ楽しいだけのものから、スポーツとして受け止められるようになる。子どもたちは憧れのスターのプレーをマネしたがるし、試合も少しずつ大人のサッカーに近づける必要はある。でも、この年代の子にふさわしいオーガナイズは欠かせない」と強調しています。現場レベルでやるには難しいことがありますが、可能な限りしっかりと配慮して向き合いたいところです。


【1/22トークイベント】中野吉之伴氏×末本亮太氏『ドイツサッカーの育成文化をどう日本に落とし込むか』


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