「筋トレをすると背が伸びなくなくなる」「牛乳を飲むと背が伸びる」はホントか?
2018年12月02日
フィジカル/メディカル「筋トレをすると背が伸びなくなくなる…」「牛乳を飲むと背が伸びる…」という迷信を聞いたことはありませんか? その迷信は真実なのでしょうか…。加藤晴康先生(立教大学 スポーツウエルネス学科 教授)が医科学的な観点からお答えしていきます。
『幼児・小学生のための身長をグングン伸ばすための本』から一部転載
再構成●ジュニサカ編集部 著●加藤晴康 写真●ジュニサカ編集部
Q.筋トレすると、背が伸びなくなる?
回答
気にせずにトレーニングしてOKです。
筋トレをすると背が伸びなくなる、とはよく言われることです。しかし、医科学的には、筋トレをしたから身長の伸びが抑えられたという言説にはまったく根拠がありません。統計学的な検討をされたデータも一切ありません。
体質によって、筋肉がつきやすいタイプとつきにくいタイプはあります。でも、筋肉がつきやすいタイプの人のほうが背は伸びないのかというと、そのようなデータもまったくありません。筋肉が発達していて背の小さい人の場合、背が高くて筋肉のある人より世間的に少々目立つということがあるのでしょう。
私自身が関わっているサッカーの現場で言うと、現在では筋トレで鍛えるといっても、昔のようなムチムチの筋肉を作ろうという考え方はありません。見た目はほっそりしているけれど、体幹の筋肉はしっかりあり、ボディバランスはいい、という状態が理想とされています。しっかりトレーニングしたとしても、ボディビルダーのような筋肉がつくということはありません。今では、若いうちから筋力トレーニングに励んでいる選手が多いです。
なんとなく、筋肉がガッチリしていると、抑え込まれて背の伸びを阻害してしまうような印象があるのでしょう。しかし、身長を規定するのは、成長軟骨の増殖です。筋肉によって圧力がかかることにより、成長軟骨の働きが悪くなるかというと、そんなことはありません。
むしろ、筋肉が多いということは血流が多くなるということですから、細胞の働きを活性化させます。成長軟骨の増殖も促進されます。つまり、成長において、筋肉が発達することにネガティブな要因は見当たりません。
加えて、筋肉はかなり伸びるものです。これだけよく伸びる筋肉が、年間数センチずつ成長する骨を抑え
込み、成長を制限するとは考えにくい。通説をあまり気にせずにトレーニングすべきでしょう。
Q.「牛乳を飲むと背が伸びる」 はホント?
回答
飲めば背が伸びるわけではないけれど、栄養を補充できる便利な食品です。
牛乳は、飲めば背が伸びるというわけではありません。けれど、 200㏄程度の牛乳を飲めば、てっとり早く成長に必要な栄養素をある程度とれてしまうという、とてもありがたい食品です。
牛乳にはカルシウムの他、成長に欠かせない栄養素が含まれ、成長期に栄養補充するためには有効な食品です。牛乳は子牛がみるみる大きくなるくらいですから、さまざまなビタミンやミネラルが入っているのです。
近年、牛乳をすすめない文献なども見られますが、確実なことはわかっていません。私が関わっているサッカーの現場では、一流選手も牛乳を飲んでいますし、現状では、牛乳でとれる栄養素を摂取しない選択はデメリットのほうが多いのではないかと思います。ただし、牛乳を飲むとお腹を下してしまう、牛乳が飲めない体質の人もいますので、その場合は無理して飲んではいけません。
ただ、低脂肪乳には反対です。太りたくないからと低脂肪乳を選んでいる方もいるかもしれません。しかし、私は子どもにはとくに、低脂肪乳ではなく、しっかりした牛乳を飲ませるべきだと思います。低脂肪乳は加工乳です。生乳の要素を満たさないものに脱脂粉乳を加えて作られているので、ビタミンDなども添加されているのに牛乳より価格が安いのです。本来の牛乳にはいろいろな栄養素が入っているはずですが、バラバラにして加工された低脂肪乳ではどれだけの栄養がとれるのか疑問です。
太目だからと気になる場合もあるかもしれませんが、しっかり運動して、お菓子や清涼飲料水で糖分をとりすぎなければ、子どもが牛乳で太るわけがありません。
背を伸ばしたいからと、プロティンやサプリメントといった高価な栄養補助食品を購入して飲むくらいなら、牛乳を飲むことをおすすめします。
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