10年後に通じるサッカーを見据えたトレーニングを行うこと。それがゴールであり、目的【10月・11月特集】

2018年12月05日

サッカー練習メニュー

10年後に通じるサッカーを見据えたトレーニングを行う

――もう一つの採点項目は興味深いです。指導を見ていてもメリハリがないですから。元フットサル日本代表監督のミゲル・ロドリゴは「指導者は役者になる必要がある」と言っていました。それは「選手たちの精神状況を考慮してトレーニングをやらないと効率性と生産性が上がらないからだ」と教えてくれました。

濱吉「チームとしても個人としても成長・漸進するためには、トレーニングのインテンシティが絶対条件です。戦術的なインテンシティを保つために選手の集中力は欠かせません。日本がロスタイムで負けることが多いのはトレーニングのインテンシティが低いからだと思います。ヨーロッパでもそういうところはありますが、個人的には選手に集中力を保つようなやらせ方が足らないと感じています」

――オシムさんも選手たちの様子を見て練習を変えていたと聞きます。

濱吉「オーストリアでも感じましたが、ヨーロッパのコーチたちは予定を立てても決めつけてはいけないと思います。重要なのは、選手たちにどう緊張感を与えるか。私が静岡で開いていたサッカースクールでは意識して緊張感を作り出していたので終了後は選手が頭も体もヘトヘトでしたが、『でも来たい』という感情を持っていました」

――ドリル的なトレーニングばっかりやっていると、次に何をやるかがわかっているから緊張感が保てない部分はあります。

濱吉「ドリル系のトレーニングのやらせ方の問題もあります。選手に『上手くなった』という実感を持たせられたら真剣に続けると思います。それはトレーニングの漸進性です。「こういうふうにやっていったらいいんだよね」。ある意味、選手に毎回のトレーニングではそう思わす必要はあります。そういうことで私のトレーニングはわかっている指導者からこんなことを言われたことがあります。

『濱吉さんのトレーニングって毎回違う練習に見えて、それぞれがつながっていたり共通していたりしますよね』と。

 でも、選手はそこに気付かず、いつの間にかチームとしてどうプレーするかをルーティーンとして練習をしているのです。私が大切にしているのは、選手に飽きさせないトレーニングのアイデアです。私はクーバートレーニングって本当によくできたトレーニングメソッドだと思います。若い時は非常に勉強になりました。初心者コーチやお父さんコーチにとってはああやって体系化されていれば誰でも指導ができるわけです。一つの方法として、指導者にいくつかのパターンを用意しておくのも一つの手です」

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【FCバルセロナを率いていたダビド・サンチェス・ドメネ監督。喜怒哀楽の感情を選手にストレートに伝えていた】

――その一つの方法が指導者の感情表現の豊かさだったりします。毎年、夏に開催されるジュニアサッカーワールドチャレンジにはFCバルセロナが参加するのですが、監督のダビド・サンチェス・ドメネは今夏のチーム作りについてその点につい意図的なことしていると語ってくれました。(ワーチャレ取材日記②)

濱吉「指導においてはやらせ方や伝え方が重要だと考えていて、海外では選手に非常にエモーショナルに伝えている時も多いんです。どう伝えるかは大事です。感情を含めて演出で伝わり方は変わってくる。それも含めての集中力の保たせ方です。今日のセミナーのテーマ「プレーモデル・プレー原則に従ったトレーニング理論」もメソッド的なものをもっと教えてくれるかと思っていた指導者もいたと思います。でも、その前に大前提とするサッカーの体系化とか、トレーニングの原則とか、近代サッカーの成り立ちとか背景的な素地が必要です。私も様々な文献を読んでいますが、指導のキーワードで集中力は絶対条件です。そこはメンタルが関わる部分です」

――「メンタルも重要だ」と言いながら、その要素を入れられてない指導者は本当に多いです。それがないから子どもたちの理解が進まなかったりしていることは多々あると感じています。

濱吉「どう頑張ればいいのか。それがわからない子は多いと思います。それはゴールが見えない中でトレーニングをさせてしまっているからです。目的が見えない中でトレーニングをさせてしまっているからです。私が言い続けているのは、10年後に通じるサッカーを見据えたトレーニングを行うこと。今、世界でスタンダードとされているサッカーを普遍的なサッカーだと捉え、それを指導していくことです。それがゴールであり、目的です。

 だからこそ逆算してトレーニングを考えて実践することが重要です。サッカーでは言葉にする時も言葉にしない時もあります。もし言葉にする場合は丁寧にしなければいけない。逆に、あえて言葉にせずに自分で導き出す方法をとることもあります。基本的に私の練習は、先読みトレーニングなので集中していればしっかりとこなせます。それが私のメソッド的な部分でもあります」

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