「足だけに頼る動き」がケガを生む。スポーツ障害の最大の予防法は“楽な姿勢”にあり

2018年12月10日

コラム

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スポーツの活動量とケガや痛みは密接に関わっている

――トレーニング量はどのくらいが最適だと思いますか?

松井「時間で言うなら1時間半くらいです」

――ジュニアと言っても6〜12歳と幅広いです。例えば、1〜3年生、4〜6年生に分けたとすると週どのくらいの活動回数が最適だと?スペインをはじめとするヨーロッパでも国や地域に違いはあったと思います。

松井「私がスペインにいた当時は週3回くらいで活動しているチームが多かったと思います。もちろん、内容は各々違います。どちらも試合は週末1試合が基本です。一方、日本ではサッカーの活動が週4〜5回というケースも珍しくはありません。多少量が多くても本人が楽しいなら百歩譲っていいのかなと思いますが、長時間の活動はどうでしょうか」

――楽しいだけでケガをしても仕方ないです。先日、オーバートレーニング症候群の取材をしたのですが、早稲田大学の先生に身体的・精神的なストレスが原因だと教えていただきました。その先生はスポーツに対する拘束時間は大きな要因だと言っていました。

松井「個人的には、週5・6の活動はやりすぎだと考えています。小学生のうちは楽しいかもしれませんが、その先の中学校や高校で何らかの影響が出るかもしれません。

 そういったことを理解してもらうために、保護者向けの講習会を開いています。保護者だけでなく、スポーツに関わる大人たちは子どもの将来にどんな影響が出るかまで考えなければなりません」

――子どもがケガをしたから講習会に参加されている保護者もいると思います。講習会後の様子はどうですか?

松井「少し変化がみられます。講習会では『いつ病院に行けばいいのか』など質問される方も多いのですが、痛みをどう判断すればいいのかという指針みたいなものをつかんで帰られているようです。痛みは単なる疲れの場合もあります。良くある例として、朝に痛みがなければ問題はありませんが、朝起きて痛みがあるようだったらオーバーワークの可能性ありです。そういった場合は、病院で診察してもらうことをおすすめします。骨折などのケガの場合もあるため、数日だけ様子を見て病院に行ってもいいと思います。ただ、痛みを放置して活動することは避けましょう」

――やはりスポーツの専門医に診てもらった方がいいのでしょうか?

松井「まず病院で診察してもらうことが大切です。その先生がスポーツの専門医であればなお良いでしょう。スポーツに知識の深い専門医の方が様々な症例を知っています。保護者の方が付き添う場合はケガを治すことを一番の目的に、詳しく実情を説明してください。練習回数や練習時間、試合活動状況など正確な情報が正確な診断につながります」

――休息については安易に保護者が判断すべきではないですか?

松井「まず病院の診察を受けて、先生から良いアドバイスをもらいましょう。練習もすべて休まなくても半分は参加できるなどの細かいアドバイスが必要な場合もあります。そういった判断は、医師であるからこそできるものです。

 保護者の方は、子どもがケガをする前に姿勢について意識することからはじめましょう。

 体の負荷の量をコントロールするだけで体への負担は大きく変わります。だからこそ子どもたちには“体の使い方”というと何か特別な方法のように聞こえますが、専門的にやってる競技以外の遊びや、受け身、木登り等のアスレチック等で、体にかかる力をうまく分散、逃がすような事を覚えてもらいたいと思います。


<プロフィール>
フィジカルコーディネーター
松井 真弥(まつい しんや)

スペインで10年、日本で3年、プロのサッカークラブでトレーナーを務める。帰国後は鍋島整形外科で体の使い方によるスポーツ障害の減少・パフォーマンスアップ、さらに健康維持等の指導、操体法による体のケアを行う。不定期で「足に負担をかけない動き方・体全体を使った動き方」などの講習会を開催。

▼経歴
2000〜2010年 RCDエスパニョール・トレーナー(スペイン1部リーグ)
2011〜2014年 ベガルタ仙台・トレーナー
2014年〜 鍋島整形外科(千葉市)
2018年〜 幅広い分野での活動を目指し、「EL CUERPO治療室」を設立。現在は順天堂大学サッカー部トレーナーとしても活動し、他にも2校のフィジカルアドバイザーを務める

▼ホームページ
https://elcuerpo.net/


 

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