ドリブラーに欠かせない要素とは? 状況判断、タイミング、そして闘争心

2018年12月12日

コラム

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ドリブラーが抑えるべきコツは「ティー」 と「アウトサイド」

 ファナティコスでは闘争心を押し出したドリブルのイメージを持ってもらうために、子どもたちに過去の映像を見せる。映像は、グラウンドの片隅にあるプレハブのクラブハウスで全員が一緒になって見られる。見る映像は、ファナティコスに所属した歴代ドリブラーのプレー映像集。現在プロレベルに到達している選手たちの6年生当時のプレー映像で意識を高めるのだ。

「これらを子どもたちが6年生になったときに一斉に見せるのと、あとは子どもの調子がいいときを見計らって見せます。どんどん良いイメージを持たせるんです」
 
 この取材でも映像を見せてもらった。画面には、現在明治大学サッカー部でプレーするプロ有力候補、小柏剛選手の6年生当時のプレー映像集が流れている。その小柏選手が、ペナルティエリアの角辺りからゴールへ向かってドリブルで侵入し、ゴールライン付近まで切り込んでから中へクロスボールを入れたり、そのままシュートを放ったりするシーンが映し出されている。

「こういうポイント(ゴールライン付近まで)に突っ込んでいけるかどうか。これができる選手とできない選手では全然違います。ここで相手ディフェンダーに対して怖がって背中を向けてしまえば、局面が変わってしまうし、攻撃が終わってしまうんです」
 
 映像では小柏剛選手がまさに「闘争心の塊」といった姿勢を押し出しながら何度も何度も、サイドからゴールへ向かって斜め方向にドリブルしている。気持ちがみなぎっている様子が伝わってくるが、このとき小柏選手は明確なポイントをイメージしている。

「ゴールラインとゴールエリアが交わるティー(ラインが交わると「T」の字に見える)を目指すんです。これが一番のティーとすれば、ゴールラインとペナルティエリアが交わるポイントが二番のティー。一番のティーまで侵入できればもうゴールは奪えたようなものです。一番のティーと二番のティーの間くらいでもいい。そこからペナルティスポットにボールを折り返せば、相手ディフェンダーの対応は難しいし、そこに味方が一人、二人、三人と入っていけばかなり有効な攻撃になります。こういう攻撃が有効なのは世界共通だし、子どもたちからすればわかりやすい目安になります」
 
 ドリブラーがドリブルをするときのコツは他にもある。若林監督が「アウトサイドでのタッチによってスピードが増す」と強調する。

「アウトサイドの(足の甲の前辺りで押し出すようにする)ドリブルは、ボールの置き場所が良ければすぐにシュートを打てたり、パスを出したりできるんです」

 これは実際に試してみればわかるが、確かにアウトサイドでボールタッチをすると次のアクションとなるシュートやパスをしやすい。

「アウトサイドのドリブルはボールを見ずに顔を上げられるので視野が確保しやすいんです。インサイドでドリブルをするとこうはいきません。ボールを見るために下を向かないといけなくなる。トラップも同じで、アウトサイドのトラップはすぐに次の動作に移れます」

 取材中、若林監督が左サイドに張ってボールを受ける、いかにもドリブラータイプの選手に何やら声をかけていた。

「下を向いてドリブルしていたので、声をかけたんです。おそらく彼は1対1のときに相手の足の動きを見ながらドリブルをしていたと思いますが、もっと上のレベルにいけば、1対1の向こう側でカバーリングに入るディフェンダーを見つつ、同時に二人の相手をしながらドリブルができます。そうなるためには視野が上がっていないといけないからアウトサイドのタッチが有効になるんです。また、ゴール前で最後のディフェンダーを抜きにかかるときは、その先にいる相手GKの位置も見ながら、相手GKをどちらかのサイドに釣るようにドリブルしてから、逆方向にシュートを打つとゴールが決まる確率は高まります。ドリブラーが目の前のディフェンダーを抜くのは当たり前。あくまでゴールを決めることから逆算してドリブルするイメージを持つのです」

若林監督
【ファナティコス(群馬県)を率いる若林秀行監督は2004年に同クラブを設立。代表と監督を務め、ファナティコスを群馬の雄と呼ばれる存在にまで成長させた 】

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