“次世代選手”育成のキーワード。サッカーにおける「インテリジェンス」の意味/倉本和昌×坪井健太郎 対談①【12月特集】

2018年12月14日

コラム

キック
※選手及びチームは記事の内容と関係ありません。

キック一つで解釈が変わるから選手の獲得するものが欧州とは違う

坪井「キックの種類が少ないよね。サイドチェンジとか、ライナー性のキックとか…先日イニエスタが見せたループパスとか、キックの使い分けとその種類の豊富さに目を向けると、日本人の選手はちょっと数が少ないと思います」

倉本「持ち運びながらそのままポンと浮かぶボールを出したりとかできないよね。ドリブルで運びながら、相手のモーションを見てキックを変えるとかって得意じゃない。僕はとにかくキックが強いボールを蹴れないという印象です」

坪井「それって何で?」

倉本「それを大事だと思っていないのが一つ。よく見かけるのは、体重が乗っているボールを蹴れなくて、それによってフリーなのにフリーじゃなくなっている状況。それはボールスピードが弱いからなんだよね。そのことに対して、みんな違和感を感じていません。『まぁ、しょうがないよね』って。もっと強かったらスパンとボールが通ってフリーの状態なのに。特にチェンジサイドする時とか、バックパスをする時とか、結果的にキックの質が悪くて展開を変えられていません」

坪井「筋力の問題はどうなの?」

倉本「小学生だったら、ある部分はあると思う。でも、高校生の場合は違う。というのは、自分がいたクラブが絶対だとは思いませんが、ダービースターというボールを使っていました。オランダのボールで少し重たいのですが、ジュニアユースは試合も練習も必ず使用していました。すごく重たいので中学1年生だと慣れるまではボールが飛ばなかったりしますが、使っていくとだんだんスイングするインサイドキックで蹴ったり、インステップでカットボールを蹴ったりするようになります。日本は、とにかくキックがうまいと思える子どもが少ないです」

坪井「蹴られないからピッチ全体が使えませんし、だからピッチ全体を使わないことを前提に戦い方がプランニングされています。負の相互作用が働きあっていますよね」

倉本「距離感がより近くなっていきます。トランジションが何度も起こるような状況です」

――そこは指導者によるところが大きいと思います。 そもそも日本人の子どもたちは「強いボールを蹴ることができない」という思い込みからスタートしています。「だから、距離感を詰めなければ」と。

坪井「ゴールキックをカットして1点みたいな」

倉本「でも、今度ルールが改訂されるんだよ。ゴールキックはペナルティエリアの中で受けてOKになるんだよ」

坪井「そうなると、どうなるの? 寄ってく? そうするとゴールキックカットで即1点にならない?」

倉本「あえて寄らせて落としてトンとか」

坪井「どこまでそれをチャレンジさせる指導者がいるかどうかだよね。戦い方によって選手の伸び率や選手が獲得するものが変わってきますからね」

――おっしゃる通り、指導者によります。長い距離のパス交換をすることで視野が広がるだとか、そういう観点がないのである種「最近はキックが軽視されている部分がある」と個人的には思います。指導者がサッカーの構造を認識していればバランスのいいトレーニングをしているはずですが、何かが抜けている現状があるのかなと感じるところです。

倉本「実際に、小学生が覚えていくことも増えています。でも、フットサルコートで練習しなければいけない現状があったりするので、『キックの練習ができないようね』という現実もあると思います。そうすると、ドリブルをいっぱいやった方が人もいっぱい入れ込めるから」

――そこは都市部と地方では大きな違いがあります。特に、キックについては。でも、だからと地方の町クラブが戦術的なトレーニングをしているかと問われるとそこは疑問です。

倉本「スペイン人なんて自主練はしないしね。そもそもグラウンドが使えないし。本当に1時間半トレーニングしたら帰りますから。下手したら日本人の練習量の半分くらいです」

【12月特集】サッカー選手に必要な「インテリジェンス」とは 倉本和昌×坪井健太郎/対談


<プロフィール>
倉本 和昌(くらもと かずよし)

高校卒業後、プロサッカーコーチになるためにバルセロナに単身留学。5年間、幅広い育成年代のカテゴリーを指導した後、スペイン北部のビルバオへ移住。アスレティック・ビルバオの育成方法を研究しながら町クラブを指導し、2009年にスペイン上級ライセンスを日本人最年少で取得。帰国後、大宮アルディージャと湘南ベルマーレのアカデミーコーチを計8年間務めた。現在はスペインと日本での経験を活かし「指導者の指導者」として優秀なコーチを育成するサポートをしている。

坪井 健太郎(つぼい けんたろう) CEエウロパユース(スペインユース1部)第二監督

1982年、静岡県生まれ。静岡学園卒業後、指導者の道へ進む。安芸FCや清水エスパルスの普及部で指導経験を積み、2008年にスペインへ渡る。バルセロナのCEエウロパやUEコルネジャで育成年代のカテゴリーでコーチを務め、2012年には『PreSoccerTeam』を創設し、マネージャーとしてグローバルなサッカー指導者の育成を目的にバルセロナへのサッカー指導者留学プログラムを展開。2018年10月には指導力アップのためのオンラインコミュニティ「サッカーの新しい研究所」を開設した。著書には『サッカー 新しい攻撃の教科書』『サッカー 新しい守備の教科書』(小社刊)がある。


 

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