日本の子どもたちに必要なものは「余白」であることを大人たちはわかっているようでわかっていない【サッカー外から学ぶ】
2018年12月20日
コラム子どもたちの“自由時間”は絶対に削らない。「世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる」の著者である橋井健司氏はそう語る。幼児教育のエキスパートである橋井氏が子どもたちの“自由時間”を重んじるのはなぜなのか。そこに「育成」のヒントがあった。子どもが大人になるまでに身につけておきたい能力と、その力を得るための必要な環境づくりについて深く考える。
文●大塚一樹 写真●Getty Images、佐藤博之
【第1回】日本に蔓延する「完璧主義」の幻想は子どもの頃から始まっている
忙しすぎる子どもたち
「日本の子どもたちは忙しすぎますよね」
橋井さんが日本の教育の大きな問題として挙げたのが、スケジュールがぎっしり詰まった子どもたちの忙しさだ。
「小学生のうちから、学校では時間割に沿って時間を過ごし、それが終われば部活や塾にいく。日本の小学生たちは、子ども時代からサラリーマンのように決められたスケジュールを忙しく過ごしています。子どもたちに必要なのは、余白の時間。なんでも好きにやっていい自由な時間なのに『教科』という考え方がない幼児保育でも小学校と同じようなことをしています」
橋井さんの著書の中にも「自由時間は絶対に削らない」という項目がある。これは著書をつくるにあたり必ず入れなければいけないと思っていた外せない項目の一つだったという。
「何年か前、自分の園の保護者に『削ってもいい時間は何ですか?』というアンケートをとったんです。あれもやらせたい、これもやらせたい、こういうことをやってほしいという要望が多かったので、では「削っても良いのは何ですか?」という質問をしたんですね。この回答見て愕然としました。圧倒的に「自由時間を削ってください」という答えが多かったんです」
ここを根本的に変えないと自分が目指す幼児教育、子どもたちの真の成長はあり得ないという思いで一杯になった。
「いまでは、保護者の方もだいぶ理解してくれるようになりました。昨今は、とにかく習い事がいくらでもあります。子どもの友達を見ればいろいろなことを始めているという環境なので、どうしても隙間の時間を全部埋めたくなってしまうんです」
早期教育の有用性が強調される世の中では、その真の意味を理解せずにさまざまな習い事を詰め込みたがる親が増えている。これも前回(日本に蔓延する「完璧主義」の幻想は子どもの頃から始まっている)紹介した「完璧主義の弊害」なのかもしれないが、日本では「子どものために習い事やお稽古事、通信教材で学ぶ機会を与えること」が必要以上にクローズアップされている。
「選択肢が多いことは子どもたちにとって悪いことではありません。ただ、スケジュールをぎっしり詰め込むことで、何をするか決まっていない自由時間が奪われるのは実は非常にもったいないことなんです」
カテゴリ別新着記事
ニュース
セレクション
-
【ユース セレクション】ザスパクサツ群馬(群馬県)2020.09.23
-
【ジュニアユース 体験練習会】SC大阪エルマーノ(大阪府)2020.09.23
-
【ジュニアユース セレクション】府ロクジュニアユース(東京都)2020.09.23
-
【ジュニアユース(女子)セレクション】ザスパクサツ群馬レディース(群馬県)2020.09.18
コラム
-
「共通理解を持ってサッカーをする習慣がありますか?」興國高・内野監督と考える“プレーモデル在り方”とは2021.02.12
-
キミはどんなタイプかな? 自分のプレースタイルを知るための“40の質問”2021.01.22
-
「eスポーツ」はスポーツか? サッカー選手を目指した少年がeスポーツ選手になるまで2021.01.20
-
サッカーを通じて“目標を達成する力”をつける思考術とは2021.01.19
大会情報
-
鹿島アントラーズノルテジュニアが初優勝を飾る ~ワーチャレ取材日記④~2020.12.31
-
大会4日目フォトギャラリー【U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020】2020.12.31
-
準決勝に進出した4チームの指導者は大会で何を感じたのか。 ~ワーチャレ取材日記③~2020.12.30
-
【U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020】決勝トーナメント 大会4日目(12/30)2020.12.30
お知らせ
人気記事ランキング
- クラブとともに戦い、走り続ける背番号13――。FC岐阜の永久欠番
- 子どもの「背が伸びない」悩みを食事で解決!! 身長をグングン伸ばす5つのポイントとは?
- “早熟タイプ”か“晩熟タイプ”か。成長のピークはいつ訪れる? 子どものタイプを知ろう!!
- 運動神経は”才能”ではない!? スポーツ上達の秘訣は「脳」にあり
- 「最も衝撃を受けた選手」。C大阪元スカウトマンが語る、香川真司のルーツ
- 「認知力」はボランチとして持つべき最低限の能力である。攻撃時に必要なボランチの動き方
- 身長は「遺伝」なのか?子どもの背を伸ばす「2つ」の要素
- 「筋トレをすると背が伸びなくなくなる」「牛乳を飲むと背が伸びる」はホントか?
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 子どもを「伸ばす親」「ダメにする親」