目に見える結果だけを求めても「本当に勝ちたいとき」に勝てる選手は育たない【サッカー外から学ぶ】
2018年12月27日
コラム
1位になったことを褒めると子どもの成長は止まる
橋井さんが園長を務めるFirst Classroomの名物でもある『親子スポーツ・ピクニック会』も、一時話題になった「徒競走なのにみんなで手をつないでゴールする」などと言った非現実的なものではない。その名の通り、子どもたちに“競争”と“共創”、身体を動かすことの楽しさを経験してもらうための祝祭として催されている。
「運動会のように日頃の“受動的”な練習の成果を見てもらう場ではなく、子どもたちと親御さんが一緒になって楽しめる場にするため、行進やお遊戯はなし。事前の練習も子どもたち自らがやりたいことを重ねます。では、競い合うことはないのかといえばそこは徹底してやります。いわゆる徒競走でも子どもたち自身が競争する分にはどんどんやってもらいます。走りたい子は何度走ってもいい。ただし、走りたくない子は無理矢理走らせなくてもいいというルールにしているんです。そうするとほとんど全員が競争心むき出しで参加します」
親子スポーツ・ピクニック会の徒競走では、もう一度走る子が全体の7割くらい。走らないで見ているだけの子もいるが、その子を無理に参加するようにうながしたり、みんなと同じように扱うことはないという。
「今年走らなかった子が 来年も同じかというとそうじゃない。そのとき走りたいとか勝ちたいという気持ちがない子が、みんなと違うというだけで走ることを無理強いしたり、競争心がないと断じたりするのは明らかな間違いです。大切なのは、やるかどうかも含めて自分で選択することです。無理矢理走らされたら走ること自体が嫌いになってしまう。サッカーでも『勝つために』と言ってやりたくないことを無理強いされたらサッカー自体を嫌いになってしまうかもしれませんよね」
もう一つ特徴的なのは、順位や結果に大人たちが反応しないということだ。
「走り終わったあとに1位、2位、3位の子を表彰したり褒めたりすることはありません。子どもたち自身が『1番早かったよ』と言ってくれば『良かったね』と声をかけてあげますが、園のスタッフが1番の子を褒めることはしていません」
運動会で良く目にするのは、順位のついた旗のところに並んだり、メダルや賞状で結果を讃える光景だ。これが橋井さんの指摘する「子どもたちに過剰な競争意識を植え付ける」ことにつながる。
「勝った負けたで一喜一憂する親御さんもいると思いますが、他人に勝つことだけを取り出して褒められた子どもは、『次も勝たなければ褒めてもらえない』と思い、手っ取り早く勝つために自分より弱い相手を探すようになります。これでは本当の競争心は育ちませんよね。反対に、5番でゴールした子も、走るのが楽しければ喜んでおり、自ら何回も走るんです。それが一番いい」
結果ではなくチャレンジや過程を褒めることの大切さは、幼児教育の鉄則として良く言われることだが、子どもの競争心や勝利への探究心以前に大人の「勝利への執着」「優越感」のために、子どもが間違った行動をとるようになるとすれば、こんなに不幸なことはない。
こうしたことを防ぐためにも、『親子スポーツ・ピクニック会』では、その名の通り、親も一緒に身体を動かす楽しさを体験する。
「運動している最中はビデオ撮影を基本的に控えてもらっています。お父さん、お母さんは撮影係でも見学者、傍観者ではなく参加者。子どもたちにとってお父さんやお母さんが一緒になって共感してくれること、遊んでくれること、身体を動かしてくれることが何よりの思い出になるんです」
以前取材したサッカークラブでも、お父さんやお母さんがサッカー、フットサルを一緒になって始めたことで、子どもの笑顔が増え、大人はサッカーの難しさ、子どもたちの取り組んでいることのすごさを知り、親子の会話が弾むようになったという話を聞いた。時間を共有し、身体を動かすことの大切さをともに感じ合える方が、グラウンドサイドでやきもきしながら一喜一憂するより余程実りがある。
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