勝敗を度外視して美学にこだわる指導者に、岡田武史と小野剛が覚える違和感

2019年02月02日

コラム

過去にW杯2大会で日本代表を指揮した岡田武史氏と、日本サッカー協会技術委員長などを歴任した小野剛氏。現在はFC今治の代表取締役会長の岡田氏と監督を務める小野氏は、指導者が勝敗を度外視して自身のスタイルを貫く姿勢に違和感を抱いているという。今回は、小野剛氏の新著『サッカーテクニカルレポート 超一流のサッカー分析学』から、両氏の対談を一部抜粋して紹介する。

構成●粕川哲男、写真●フットボール批評編集部

『サッカーテクニカルレポート 超一流のサッカー分析学』より一部転載


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必死でやって負けても問題ない

岡田 俺は人を批判しない。いろんな人がいていいと思う。みんな同じサッカーだったら面白くない。

小野 みんなが勝ちたいと思って必死にやってきた結果、国民性とかに合ったスタイルが出てくるという考え方は、本当にそうかもしれないですね。最初に戦略があって、それを目指した結果ではなく、勝ちたいと思って努力した結果、スタイルが出てきた。最近、そういうのを「〇〇スクール」という言葉で表現していますね。

岡田 チーム作りと采配の2つがあると、日本人の指導者はチーム作りに美学を感じる人が多い。采配で勝つのは邪道だと。両方大事なんだけど。最後にパワープレーを仕掛けて勝つと、最初からパワープレーやればいいじゃないかという極論が出てくる。いやいや、それはリスクが大き過ぎるだろうと。もちろん、自分のスタイルだけにこだわって、勝敗を度外視してはいけない。絶対に勝つという気持ちを持たないで、スタイルにこだわって、負けてもいいと言い始めると、サッカーは進歩しないと思う。

小野 そこに美学を求めると、確かに進歩がありませんね。

岡田 ポリシーや哲学があるのは当たり前。それで、勝たなきゃいけない。

小野 勝利至上主義に関する賛否の議論も、方法論の話だと思います。その年代以外では通用しない方法論で勝つのはどうかとは思いますけど、とにかく目の前の試合に勝ちたいという気持ちを忘れてはいけない。

岡田 そのとおり。小学生年代ならデカい子を前に置いて、ボーンと蹴れば勝つ可能性は高まる。だけど、そんなことして成長がある? そんな方法論を選択しないのは当たり前。そのうえで勝つために必死に、死に物狂いでやる。そうやって戦った結果、負けてもいい。

小野 そうですね。

岡田 子どもが相手でも、僕は勝つために必死でやれと言う。で、負けても全然問題ない。最初から、こういうサッカーができれば負けてもいいというスタンスだったら、勝っても負けても絶対に進歩はない。俺はそう思っている。

小野 まったく同感です。

岡田 だけど、PTAとかで言うと、ものすごく批判される。「なんであんなに勝て勝て言うのか」と。違うんだよ。負けてもいいけど、勝つために全力を尽くさないといけない。ヨーロッパで子どもの試合を見ると、日本以上に親の声援がすごい。熱い熱い。その代わり、負けても「グッドゲーム」と子どもたちを迎えている。日本のお母さんは違う。「キャー、行け行け」と言ったあと、「なにやってんのよ、アンタ!」と怒り出す。あれはひどいよ。あんまり勝利を求めず、この子の成長だけを願ってとか言うけど、負けた瞬間に怒り出す。あの姿勢は、本当にひどいと思う。

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