「戦術はパズルに過ぎない」。風間監督が描く個の力を最大化させるチーム作り

2019年02月09日

コラム

チームが連勝中でも降格争いの渦中にいても、風間八宏監督(名古屋グランパス)のサッカーはブレることはない。常識にとらわれない指揮官は、チームをどのように作り上げてきたのか。風間監督が描くチーム作りについて、難解さとシンプルさが共存するその考え方を読み解いていく。

『フットボール批評issue23』より一部転載

取材・文●西部謙司 写真●Getty Images


Shonan Bellmare v Nagoya Grampus - J.League J1

大きいパイに合わせてチームを作る

「チーム作りで考えるのは、まず色を何色持てるか。そして、それぞれの色がどれぐらい濃いかです」
 
 のっけから風間さんの言葉はわかりにくい。「色」とは何か、「濃さ」とは何か。もう少し聞いてみよう。
 
「例えば、10メートルを守れる選手が1人、30メートルを守れる選手が9人いるとします。これでチームを作ると10メートルの選手のところが穴になりますから、そこから崩れてしまいますよね。そこでよくやるのは、10メートルの選手に合わせたチーム作りです。横幅を守るのに10メートルを基準にすると4人が必要になります」
 
 国際規格のフィールドの横幅は64〜75メートル。1人あたり左右に10メートルの守備範囲なら、4人いれば横幅は十分カバーできる。実際にはボール方向に10メートル守ればいいので、4人で作るラインの長さは30メートル程度だが、横幅4人は実感として違和感がないと思う。4-4-2のフォーメーションを想起すればいい。ただ、これは風間さんにとって、「小さいパイ」に合わせたチーム作りだ。
 
「小さいパイに合わせてチームを作ると、まとまりは早いですけどチームが大きくならない。なので、ひとつでも大きなパイがあるなら、私はそれに合わせてチームを作ります。30メートルを守れる選手が2人いるなら、横幅を守るのに4人は必要なくて2人で足りますよね。小さいパイに合わせるのではなく、大きいパイに合わせて周囲を大きくしていく。そうでないと進化しませんから。現状で名古屋はパイが揃っているとは言えませんが、やっていけば選手は伸びていきます」

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