「戦術はパズルに過ぎない」。風間監督が描く個の力を最大化させるチーム作り

2019年02月09日

コラム

個とチームの利益を一致させる

「完成形は自分にも見えていないですよ。最初にパッケージを決めてしまうのではなく、自由設計なんです。素材の色と大きさが変われば、当然組み方は変わってくる。例えば、子どもが増えたら間取りを変えられる、建て増しのできる家みたいにね」

 一番大きな能力はそのまま使う。チームのサイズに合わせて縮めてしまうのではなく、最大の武器はフルサイズで装備する。そして周囲に武器を生かせる「色」を配置する。小さなパイに合わせていないので、パイは揃わず、全体ではそこかしこに隙間ができる。パワーバランスが歪なのでチームとしての安定感は出ない。
 
 簡単に言えば、長所も短所もでかいチームになりやすい。ただ、大きいパイに全体が揃ってくると、チームとしてのサイズが予め決まっている場合よりも大きくできる。あえて枠を作らず、どこまでも大きくしていくという方針だ。
 
「パイが揃っていなければ穴はできます。ある意味、そこは何度も誤魔化してきた。試合途中でフォーメーションを変えるのもその1つでした。目先を変えて流れを変え、相手が対応する前の5分間で点をとってしまう。それで拾った試合がいくつかあります。
 
 ただ、それをやりたいわけじゃない。それを目指しているわけではなく、方便としてやっただけです。個人とチームは一緒。個とチームの利益を一致させること。『補う』ばかりではチームは前へ進めません。下へ合わせずに上についていくようにしないといけない。その過程での戦術は『パズル』にすぎない」
 
 風間監督は仕方なく「パズル」はやったが、「ぬり絵」をするつもりはない。

「パイを大きくする、色の数を増やす。そうすると武器が出てきます。そこから本当の戦術が生まれてくる」

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【商品名】フットボール批評issue23
【発行】株式会社カンゼン
2019年2月6日発売予定

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開幕直前のJリーグ、アジアで激闘を繰り広げた日本代表、海外サッカーで描かれる、「新しいサッカーの設計図」を読み解いていきます。


 

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