個人の問題をチームの問題に置き換える。湘南ベルマーレ・曺貴裁監督が進める組織の骨格作り

2019年02月10日

コラム

昨季、YBCルヴァンカップを制した湘南ベルマーレが、決勝を含めた13試合で起用した選手は、30名を超えた。チーム一丸となって優勝を掴んだ湘南の組織力は、どのようにして育まれたのだろうか? 今季で就任8年目を迎えた曺貴裁監督に、湘南で実践するチーム作りについて話を聞いた。

『フットボール批評issue23』より一部転載

取材・文●西部謙司 写真●Getty Images

個人の課題解決がチームを作っていく

 チーム作りで全体をどう作るかというより、個別のいろいろなことを解決していくうちに全体につながるというイメージを持っています。
 
 例えばAという選手の個人的な課題が解決されることで、B選手に影響がある。AとBにつながりが生まれる。するとC選手にも関係ができてくる。そういうのが、いま湘南で進めているチームの作り方です。全体の大枠もありますけど、これとこれとこれをやればチームが出来るというものではない。
 
 個性を生かす、課題を克服する、そういう個別の解決が複数でつながると違う化学反応が起きてきて、チームになっていく。そういうものが骨になってチームはできていくのだと感じています。
 
 1人ひとり、あるいはグループが生き生きしていて楽しく、かつ向上心も自発性もある組織ーーまあ、そういう組織が良いに決まっているわけですが、全体をまとめる標語みたいなもので束ねるつもりはないです。育成年代の指導をしているときから、例えば「お前はボランチなんだから、真ん中のこのへんにいて飛び出すな」というようことは言いませんでした。「お前の役割はこうだ」なんて決め方をしたことはありません。
 
 全体がこうだから、個はこうしなければならないなんて全然思わなかったんです。そこは逆で、個が全体を作っていくもので、そうでないとチームの骨格はできないという感触は当時からありました。

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