「全員出場」という言葉だけが一人歩きしていませんか? 

2019年02月11日

育成を考える

「全員出場」。サッカーに限らずジュニア年代のチームスポーツに関わる大人にとって一度は頭に浮かぶテーマだ。サッカーにおいて昨今はこの問題について競技型のチームとそうではないチームと棲み分けて考える必要があると考えられているようだが、本当にそうだろうか。試合に勝つためだけに選手を固定し続けるのは論外だが、「うちは全員出場させてますよ!(5分だけだけど…)(点差がついたときだけは…)」といういわゆる“競技型”ではないチームも多々ある。「全員出場」を掲げることは育成にとって大事なことだが、「全員を出場させる」ということが目的になりすぎていないか? 今回はドイツにルーツを持ち、日本のジュニア年代の指導に携わりながら2019年からY.S.C.C.の監督に就任したシュタルフ悠紀リヒャルト氏に「選手の出場時間」や「自由交代の使い方」についてインタビューを実施。第1回は「選手の出場時間」についてシュタルフ氏の言葉から改めて考えていきたい。

取材・文●高橋大地(ジュニサカ編集部)、写真●ジュニサカ編集部


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選手に出場機会を与えれらているかどうかは指導者の評価に

――少し前の話になるのですが、シュタルフさんが主催されている『レコスリーグ』の試合を拝見する機会がありました。私が観戦した試合は内容こそ拮抗していましたが、ベンチワークは非常に対称的だったのでよく覚えています。片方のチームは学年に関わらずベンチメンバーを多く使いながら試合を運び、もう一方のチームのベンチメンバーはずっとベンチを温めたまま。多くの選手を使いながらうまく試合を運んでいたチームを率いていたのがシュタルフさんだったわけですが、シュタルフさんはジュニアサッカーにおける『全員出場』や『交代の使い方』についてどう考えていますか?

「まずサッカーといっても年代によって色々なサッカーがあります。例えば、プロのサッカーにおいて勝ち負けは重要です。一方でジュニア年代のサッカーは選手の発育・発達を促してあげることが必要です。

 大会の規模は関係なく、試合は子どもを成長させるためのものです。固まった選手で試合に臨み、現時点で能力が劣る選手を使わない指導者の目的は1つだけ。ただ勝率をあげたいということでしょう。ですが“短期的に勝率を上げること”は選手の成長には無関係なものなので、僕らの頭にはありません。

 それよりもプレイヤーズファースト、所属している選手一人ひとりが必ずトレーニングやゲームを通じて成長してくれることを目的にしています。だから選手が試合に全員出場するのは当然のことなんです。またクラブのKPI(※編注)として、一番試合に出ていない子でも原則的に『約40%』は出場させなければならないということをルール化しています」

※Key Performance Indicatorの略。主要業績評価指標のこと。試合結果でコーチを評価するのではなく、一番出場時間が短い選手にも約40%以上出場機会を与えられているかどうかがコーチの評価に入る。

――『約40%以上』という数字をあげてくれましたが、40%以上出場しなければならない理由とそういった考えに至った経緯や原点を教えてください。

「試合に出ないと選手は成長しません。絶対に。それは間違いありません。ベンチにいくら座っていても、その子がサッカー選手として成長することはありません。

 では、1分や2分だけ試合に出場して何か得るものがあるのか、と言われたらそれも難しい。一定の時間試合に出場しなければ、選手はチャレンジできません。成長というのは成功と失敗を繰り返すことで得られるものなので、成功も失敗もしないといけない。例えば3、4分で成功と失敗を繰り返せと言われても難しいですよね。だからなるべく長い時間プレーさせてあげたい。

 でもチームが成長するためには勝つことも重要です。このバランスを考えて試合の半分というのが現実的なのかな、と。逆にサッカーの能力は別として、今伸びている子とか、何かを掴みかけている子は少し長く試合に出られるようにコントロールしています」

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