「技術的なエラー」だけで選手を評価してはいけない。“再交代”を有益に使うひと工夫

2019年02月18日

コラム

Stalph4
【シュタルフ悠紀リヒャルト氏は2019年シーズンからプロチームの監督を務めながら日独フットボール・アカデミーなどでジュニア年代の指導にも携わる】

「技術的なエラー」だけで選手を判断してはいけない

「おそらく、今の話を聞く限りその子は戦術的な部分が良くなかったんだと思います。『あ、ビルドアップ時のポジションの役割を理解していないんだな』と。前回は育成年代の試合はトレーニングだと言いましたが、トレーニングであればどういう指導をしますか?」

――いったん止めて…。

「止めますよね! フリーズとシンクロの差で、フリーズというのは、言葉の通り選手を止めて指導するので、選手に考える時間を与えます。シンクロというのはその逆で動きを止めずに指導します。
 
 でも試合中にフリーズさせることはできないですよね。だから呼ぶ、交代させるということです。その選手を呼んで『今の状況こうだったよね?』と聞いてみます。それでも分からないなら、『こういう状態だった』とフリーズの状態をボードを使って提示してあげて、『なぜ上手くいかなかったのか』を理解してもらう。大事なのは、その後です。選手が理解したら、また同じポジションに送り込むこと。
 
 なるべく同じポジションに戻してあげないと交代の意味がなくなってしまいます。そこで同じ状況が出るか出ないかは運ですけど、出ることを願って送り出します。先ほどの右サイドの選手は、“偶然”うまくいったということですね。
 
 再交代できるメリットは試合においてもフリーズ指導ができる、戦術指導ができることにあります。
 
 フィジカルもメンタルも同じです。例えば日本の夏は暑い。夏場に動けなくなったら一回下げて、クールダウンしてあげて、プレーできそうであればまた送り出す判断もできます。
 
 メンタルの場合は、小さい子どもだと少しの痛みでもメンタルがやられてしまうこともあるので、1回ベンチに下げてあげて、心の準備ができたらまた行かせるとか。ミスで落ち込む子もいるので、そういう子には『全然ミスしても問題ないよ』と言い聞かせてから出してあげたり、そういう使い方もあります。
 
 ただ『技術的なエラー』で交代を使うのはあまり意味がない。多分ほとんどの指導者は技術的なミスで選手を下げることが多いのかな、と。
 
 シュートをどんどん外しているフォワードやパスミスばかりしている中盤の選手に『じゃあ替えるぞ』と。その交代の使い方は育成年代では違うのかな、と」
 
――ここは大事なところです。技術的な意味での交代はなぜ意味がないのでしょうか?

「技術を伸ばすには反復させるのが一番だからです。であれば、逆にどんどんやらせたほうがいい。何度失敗してもチャレンジさせたほうがその子のスキルは伸びる。
 
 シュートを10本外しても、11本目、12本目でもっといいシュートが打てるようになるかもしれない。そこで『今日のお前はダメだ!』とベンチに引っ込めたら、その子のシュート技術はどこで伸びるのでしょうか。ベンチに下げてすぐにシュート練習をさせているのなら別かもしれないですが(笑)」


シュタルフ氏 新著『プレーヤータイプ別診断トレーニング』 1/19発売!


カテゴリ別新着記事

お知らせ



school_01 都道府県別サッカースクール一覧
体験入学でスクールを選ぼう!

おすすめ記事


Twitter Facebook

チームリンク