「技術的なエラー」だけで選手を評価してはいけない。“再交代”を有益に使うひと工夫
2019年02月18日
コラム
「ベストメンバー」って何ですか?
――確かにそうですね。でも目に見えない部分のアプローチは、サッカー経験のない保護者の方々に理解してもらうことは少し難しいかもしれません。例えば、大事な試合を前に保護者から『なぜベストメンバーにしないんですか?』と聞かれる指導者は結構いると聞きます。シュタルフさんのところにもそういう声はありますか?
「僕の所にはこないです。運営側で止めてもらっているかもしれません。でももし聞かれたら『ベストメンバーって誰ですか?』と聞き返します。その保護者の方のベストメンバーには自分の子が出ていないことはあるんでしょうか? 自分の子どもがベストメンバーだと思ってない人が監督に『ベストメンバーでやらないんですか?』とは言わないですよね」
――おそらくいないと思います。
「指導者はチームの全体像を見なければなりません。その観点から一つ補足すると、力の差がある時点でそのクラブは機能していません。
試合に均等に出場していて、平等に扱っていれば差は詰まってくるはずなんです。もちろんスーパーな選手はいて、チームのトップの部分は能力的に抜けてくるかもしれませんが、ボトムは揃ってくるはずなんです。
まず、僕らのチームでは選手に全ポジションをやらせています。今教えている内容のプレー原則を簡単にできるポジションとそうではないポジションがあって、まだあまり原則を理解していない段階では簡単にできるポジションに配置するようにしています。
ある選手を『このポジションが良い』と決めつけるのではなく、試合の中でも難易度の低いポジションに配置して、難易度の低い所で十分にプレーできるようになったら難易度の高いポジションに移動します。
そういう考えのもとでポジションを決めているので、僕らのチームではそもそもベストメンバーを選出するということはできません」
――難易度でポジションを決めるというのは面白いですね。それを保護者の方に理解してもらえれば試合で何を見れば良いのか明確になるし、子どもの成長を感じやすくなるかもしれません。選手たちは難易度をわかってプレーしているんですか?
「おそらく知りません。それを言う必要はないのかな、と。
例えば『前向きにボールを受ける』ことをテーマにした場合、もっとも難易度が低いのは、GKからボールをもらうとき以外、つねに前向きにボールを受けられるセンターバックのポジション。僕らは『3番』と呼んでいるポジションです。次の難易度はサイドの選手で僕たちは『11番』と呼んでいます。
『11番』の選手がボールを受ける場合は基本的には横からボールがきます。センターハーフからのボールはほぼ前向きに受けられて、フォワードからの落としも前向き、でも『3番』からのボールは貰いにいくことが多いから後ろ向きになるということで2番目に難易度が低いポジションということです。
次がセンターハーフの『8番』と呼んでいるポジションです。『8番』の選手は様々な方向からボールを受けなければなりませんからボールを引き出す動きは重要です。さらに難易度が高いがフォワード。『9番』です。前向きにプレーするには、まず後ろからボールを引き出さないといけない。前を向いてプレーするのがもっとも難しく、色々な動きをアレンジしてボールを受けなければなりません。ただし、『9番』は最終ラインとの距離が遠いため、小学生年代ではビルドアップに関わることが難しいポジションでもあります。そのため下の学年ではまだビルドアップの原則を理解していない選手を9番に配置することもあります。
ほとんどの選手が『3番』から入り、『11番』から『8番』を経験していきます」

【日独フットボール・アカデミーで採用されるポジションを呼ぶ番号(9人制)】
シュタルフ氏 新著『プレーヤータイプ別診断トレーニング』 1/19発売!
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