キーワードは「可動性」と「安定性」。日本代表・武藤嘉紀が実践した”肉体改造”メニューとは
2019年02月21日
コラムメニュー①重心の移動をスムーズにする
【回数・目安】左右10往復
サッカーはさまざまな方向に進むスポーツですが、その際の重心の移動をスムーズにするためのメニュー。股関節を作用させて力をうまく吸収する意識が高まると、上半身のバランスが崩れにくくなります。
【手順】
1.足を肩幅よりも大きく広げて、まっすぐ立ちます。
2.手を股関節の付け根に添えて、背すじを伸ばしたまま、どちらかに重心を移動させます。
3.①の体勢に戻り、②と同じ動きで逆方向に重心を移動させます。
【ポイント】
・最初は速く行うよりも、どの関節や筋肉が作用して、身体がどのように動いているかを意識しながら取り組みましょう。
・慣れてきたら、スピードアップしてもOKです。
メニュー②胸周り・肩甲骨周りの可動性を高める
【回数・目安】3~5回
ゲームやスマホなどは猫背になりやすく、その結果、胸周りや肩甲骨の可動性が失われがちです。すると、腰や腕を正しく動かせず、うまく走れないなどの影響が出てしまいます。こうした悪影響を改善するためのトーニングです。
【手順】
1.腕立て伏せの体勢をとります。頭から足裏までをまっすぐに伸ばし、手は肩の下に置きます。
2.腕を伸ばしたまま、胸を開くようにしながら落とし、肩甲骨を狭めます。その後、胸を閉じながら1の体勢に戻ります。この動きを繰り返してください。
【ポイント】
・胸を下ろすときは、首をすぼめてはいけません。肩の位置を後ろにスライドさせて、胸を下ろすイメージを持つようにしましょう。
・胸と肩甲骨だけを動かすことが大事なので、胸と一緒に腰まで落とさないように注意してください。
・胸を閉じるときは肩甲骨を開くイメージで行います。
メニュー③股関節ローテーション
【回数・目安】左右10回ずつ
股関節は「立つ」「しゃがむ」ときだけでなく、ジャンプや方向転換の際に大きく作用する重要な箇所です。この股関節の可動性を高めることで、あらゆる動作がスムーズになります。
【手順】
1.短距離のクラウチングスタートのような体勢をとります。ただし、後ろの足はしっかりと伸ばしてください。
2.曲げた足と同方向のヒジを曲げて、足の内側に置きます。手のひらは後頭部に置いてください。
3.上体を曲げた足の方向に捻りながら、曲げた腕をまっすぐ上に伸ばし、その後、2の体勢に戻ります。この2と3の動作をくり返します。
【ポイント】
・1のときは背中を丸めずに胸を張ります。すると、太ももの前の筋肉や股関節の付け根がよく伸びます。
・股関節を捻ることがポイントなので、2のときは胸をヒザへと向けます。指先を天井に向けてしっかりと伸ばして止めましょう。
・伸ばした腕を反対側の腕に近づける際は、背中を丸めます。目線を下げながら、ヒジをできるだけ、反対側の腕に近づけます。
メニュー④臀部(お尻)を活性化させる
【回数・目安】10~20秒キープ
両足を45 度くらいに開いて合わせ、腰を持ち上げることで臀部に大きく作用するトレーニング。臀部は上半身を支えたり、走るときやターンの際に使われるため、本来持っている筋力が発揮できるようになります。
【手順】
1.寝そべって両腕を45度くらいに開きます。ヒザを立て、両足は45度くらいの角度で合わせます。
2.1の体勢からお尻を浮かせてキープします。
【ポイント】
・ヒザは90 度くらいに曲げて、足が伸びすぎないように注意します。
・2で腰を浮かせるときはお尻を締めて、腰が反り過ぎないように注意しましょう。
・2でキープするときは肩からヒザまでが一直線になるようにしてください。
メニュー⑤コブレット・スクワット
【回数・目安】10秒キープ
内もも(内転筋)を強化するメニューです。内転筋は身体の軸にも大きく関係する箇所で、強化することでヒザや骨盤の安定性が増します。
【手順】
1.足を肩幅よりも広く開いて、まっすぐに立ちます。
2.ヒザを曲げながら腰を落とし、両手を胸をあたりで組みます。このとき、両ヒジとヒザを合わせて、お互いに押し合います。
【ポイント】
・1では脚を肩幅よりも大きく開き、つま先も20 ~ 30 度開きます。
・2で腰を落とす際は、背中が丸まらないように注意。背中をまっすぐにしたまま、股関節とヒザを曲げます。
・両ヒジと両ヒザを合わせて押し合い、内ももの筋肉を活性化させます。
メニュー⑥胸周りを活性化させる
【回数・目安】左右10回
胸周りを反ったり、丸めたり、回旋させることで活性化を促すトレーニングです。姿勢がよくなり、走る動作や方向転換がスムーズになります。
【手順】
1.四つん這いの体勢をとります。
2.どちらかのヒジを曲げ、手のひらは後頭部に添えます。そして、もう一方の腕に合わせます。
3.2の体勢から胸を開いて、ヒジを上げます。この2と3の動きをくり返します。
【ポイント】
・1の体勢では、背すじをまっすぐ伸ばし、手は肩の下、ヒザは股関節の下に置きます。
・2でヒジを上げるとき、同時に骨盤まで動いてしまうと、胸周りへの効果が薄れてしまうので、骨盤が動かない範囲でヒジを上げてください。
・目線は常にヒジと同じ方向に向けます。
<プロフィール>
寺田 拓司(てらだ たくじ)
現役時代は湘南台高校、産業能率大学、静岡FC(JFL)でプレー。24歳で現役引退後、トレーナーの道へと進む。2017年2月から1年間、日本代表として活躍する武藤嘉紀選手(現・ニューカッスル)の専属トレーナーを務めるため、ドイツへと渡った。
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◇ドイツでは守備戦術をどう教えるのか?●中野吉之伴
◇中村航輔選手を輩出した柏レイソルのGK育成論●井上敬太(柏レイソルGKコーチ)
◇チームの守備は等間隔を意識する●西宮サッカースクール(兵庫)
【特集2】サッカーがうまくなる ジュニア年代のカラダづくり
◇日本代表コーチが教える「コンディショニングの基礎知識」●早川直樹
◇日本代表・武藤嘉紀選手も実践!可動性&安定性トレーニング●寺田拓司
◇横浜FCチームドクターに聞く!ジュニア年代に起こりやすいスポーツ傷害への対応●佐藤秀樹
◇脊柱と股関節の可動性を高めるヒグトレ●樋口敦
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