受け身にならず主導権をにぎる。マンツーマンではないDFの概念
2019年04月05日
育成/環境Jリーグで監督として数々のチームを指揮し、守備組織の理論と構築のスペシャリストである松田浩氏(現・V・ファーレン長崎育成部長)が語る守備のメソッド。『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』より一部抜粋して紹介します。
(文●松田浩/鈴木康浩 写真●Getty Images)
『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』より一部転載
※この記事は2015年12月24日に掲載した記事を加筆・再編集したものです。
『ディフェンスはクリエイティブだ』
かつて松田浩にゾーンディフェンスについてインタビューをした後、読者プレゼント用のサインとメッセージをお願いしたことがあった。松田はそのときの取材内容を一言で表せる何か良い言葉はないかとしばらく思案したあとにこう言った。
「『ディフェンスはクリエイティブだ』というのはどうでしょう?」
取材に同席した一同が納得する回答だった。
ディフェンスはクリエイティブ――。
日本サッカー界の文脈において、ディフェンスは労力を要するもの、忍耐を必要とするもの、という考え方が一般的にあるように思うが、松田はその固定観念を一言で看破してみせたわけだ。
「僕が現役の頃、(スチュワート・)バクスターのもとでゾーンディフェンスで守備をしたときに、『なんて楽しい守備なんだ』と思えたんです。それが、僕がずっとゾーンディフェンスを推奨してきた一番の要因です。真の意味でのゾーンディフェンスを自分自身で体感するまでは、とにかく相手選手のマークについていかなければならないマンツーマンディフェンスが主流で、僕はそれが嫌でしょうがなかった。なんで自分が武田修宏のようなすばしっこい選手についていかなきゃいけないんだ、とずっと思いながらプレーしていたんです。それだといつも受け身の守備になるでしょう?
守備者は相手が動いたところに一緒についていかなければいけない。すると相手のフォワードにディフェンスラインの高低を操作されてしまうんです。あるいは、相手の意図的なポジショニングによって守備側のポジションが決められ、一番大事なゴール前を空けてしまうことにもなりかねない。するとチームメイトとの距離感が保てず、ボールホルダーに対して常に数的優位な形でチャレンジ&カバーを繰り返すこともできなくなる。つまりこれは、縦横にコンパクトな陣形が維持できないということであり、プレスバックなどによる囲い込んでのボール奪取も不可能になってしまうんです」
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