「サッカーって抽象的に見えるけど実際はすごく具体的なスポーツ」。サッカーにおけるインテリジェンスと言語化の関係
2019年05月11日
育成/環境危険性をはらむ用語の分類。サッカーはプレーの積み重ね
岩政「僕が本で書いたのは、いわゆる全体のスタイルを区切るとか原則を区切るとかは分かりやすくなっていると思うんです。例えば『ポジショナルプレーとストーミング』って言われていて言葉にすると区切られてしまうけど、いざチームに入ったらその中間にあるチームはたくさんあるわけだし、どっちに分ける必要性もないわけですよ。それを無理やり分けてしまうことによって『ポジショナルプレーやってます』みたいな感じになっちゃうと、今度はインテンシティが欠けて頭で考えてしまう気がして。分類はしやすくなって見る人にとってはいいのかもしれないけれども、中では別にこだわっていないし、選手がやっているのは一つひとつのプレーの積み重ねだよっていうことですね」
反町「そうだね。例えばグアルディオラが率いているチームでバルサではクロスに頼らなかったけど、バイエルンではクロスに頼るチームにした。それはレヴァンドフスキとかミュラーがいるからね。それでシティではまたクロスに頼っているけど、今度は高いクロスじゃなくて全部グラウンダー。なぜならアグエロが競っても勝てないから。それをチームのオリジナルとして突き詰めたら、相手は『絶対そこにクロスが入る』ってわかっていてもやられる。そういう方向性を見つけて頑としてやるグアルディオラは素晴らしいと思うし、行き着くところは具体性だよね」
岩政「相手に応じて起こる現象をしっかりチームとして作り出してコンスタントな結果に繋げていく、というところに今のサッカーはどんどん進んでいるのかなって気がしているんです。昔は何となくやっていたけど、今はより自分たちの強みと照らし合わせてどう試合を進めようということに具体性が伴えば、しっかり結果に結び付いていくっていうことが浸透している気がしています」
反町「本来は選手ありきで並びや戦術を作っていくのが一番いい。独創性があるし指導者としても楽しいんだよ。みんなの良さを引き出すために攻撃の並びを替えたり守備の負担を変えたりして守備の良さも攻撃の良さも一致した時には、チームが輝いた状態になれるよね。
ただ今の我々の状況を省みると、並びに選手を無理やり入れて良さが出ていない部分も少しあるとは思う。でもこれは今分解してビルを建て直すにしては時間がなさすぎるんだ。シーズン前は1カ月半しかないし、始まったら結果が求められるし 勝ち点も重ねていかなければいけない。だから今までやってきたことを踏襲してそれにインテンシティとクオリティを上乗せしていくっていう作業しかできないんだよ。全く違うところに行けばゼロからのスタートもできるかもしれないけれどもね」
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―「フロント力」が強くて魅力あるチームを作る―
Jリーグの序盤戦も終わるころ、それぞれのチーム状況も徐々に明白になってきた。その中で大きな変化を見せる3つのクラブがある。過渡期を経て、魅力的な攻撃サッカーを具現化している横浜F・マリノス。J2降格からチームを刷新し独自のスタイルを築き上げてきた名古屋グランパス。一時J3という深淵を見るも、再びJ1の舞台へと戻り、躍進している大分トリニータ。今号のフットボール批評では3つのクラブがV字回復を遂げた要因をそれぞれのキーパーソンへの取材から明らかにしていく。
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