守備において「読み」を凌駕する「セオリー」の威力とは?

2019年05月20日

戦術/スキル

日本を代表するセンターバックだった岩政大樹氏は、鹿島アントラーズに入団する前は「読み」に頼っていたといいます。しかし、対峙するアタッカーのレベルが一気に上がったことにより、次第に自らの「読み」ではなく相手の「セオリー」に重きを置くようになります。では岩政氏が言う「相手に自分の狙い通りのプレーを選ばせる」策とはいったいどのようなものなのでしょうか? 岩政氏が示す具体的な対応策から、セオリーに則った守備を読み解きます。
 

著●岩政大樹 写真●鈴木康浩、Getty Images

『FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする』より一部転載
 


 
Kashima Antlers v JEF United Chiba - 92nd Emperor's Cup Quarter Final
 
予測して先に動く「読み」がまずいと思ったワケ
   
 守備はどうでしょうか。
  
 守備において「相手を見る」というのはいささか当たり前すぎます。立ち位置の原則もずっと書いてきているように「ボールを持った相手と自分のゴールを結んだ線上に立つこと」といたってシンプル。常に〝良い対応のためにはいいポジションから〟が基本で、「良いポジションから」とは基本的に「ゴールを背にして正面から」となります。
  
 状況に合わせた細かい点については、できるだけ原則的な話に抑えておくために本書では取り上げません。ただ、加えて、私がプロに入って考え方を改めた「読み」の部分について言及しておきたいと思います。
  
 私はプロに入るまで、「センターバックは読みが大事」と思っていました。テレビの解説で「いい読みでしたね」と言われているのを聞いて育ちましたし、実際自分もスピードがない分、読みを頼りにプロまで駆け上がったつもりでいました。
  
 しかし、鹿島アントラーズに入団して練習に参加すると驚きました。まったく読めなかったのです。と言うより、読みで動くと、それを察知した選手たちが最後に足首の角度を変えたりして判断を変えてきていたのです。
  
「これでは読めるはずがない」
 
 カルチャーショックと言える衝撃でした。小笠原満男、本山雅志、野沢拓也。 天才的な彼らのプレーに魅せられながら、いかにすれば彼らを抑えられるのか日々悩みに悩みました。
  
 アマチュアの世界では体験したことがない感覚だったので最初は答えが出ませんでした。しかし次第に、「読みに頼ることがよくないのではないか」と考えるようになりました。
  
 つまり、「読み」とは相手が何をするかを予測して先に動くことですが、先に動いたら瞬時に彼らは判断を変えて、その逆を取ってしまいます。であるならば、先に動くことがまずいのだと思ったのです。
   
   

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