子どものため、それとも学校のため? “誰がために部活はやる”のか
2019年07月17日
育成/環境7月の特集は「夏のトレーニングを見つめる」と題し、学校リスク(スポーツ事故、組み体操事故、転落事故、体罰、自殺、2分の1成人式、教員の部活動負担・長時間労働など)をテーマに研究している名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授と、文武両道を掲げて全国大会でも素晴らしい結果を出している國學院久我山高校サッカー部の清水恭孝監督の二人を取材した。前回に引き続き、今回も内田先生には部活動における問題を中心に、「なぜ日本のスポーツ環境が変わっていかないのか」という点について深く語ってもらった。
【7月特集】夏のトレーニングを見つめる
取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部
部活動は学校でやってもやらなくてもいい?
――先月、杉並区で行われたスポーツシンポジウムで内田先生がおっしゃっていた部活動は学校でやってもやらなくていいという内容に、私は驚きました。現場の先生方はそのことを認識されているのでしょうか?
内田「いわゆる『教育課程外』ということですね。自分の専門ではないのに競技を教えたりしていますからある程度認識はしています。しかも、部活動を抜けて会議に出席したりしていますから。教育課程内の授業だと絶対にありえないことですよね。授業は教員が必ず教えるべき事項ですから、そこを抜けて『君らでやっておきなさい』は通用しません。ただ、それを明確に言語化できるかというと、できないかもしれないですけど」
――そういうことに対して国から指導することはないんですか? 部活動問題の解決にあたってどんなポイントを抑えていけば解決方法に向かうのかが、私たちにはあまり見えてきません。単純に、国が法律的に縛ってやれば「早いじゃん」と思います。
内田「それについてはいろんな答え方ができるんですけど、まず国には基本的に学校を縛らないという暗黙のルールがあります。戦争時代の反省で、国が学校教育を通して戦争を生み出していった背景もあったわけです。部活動なんていうのは授業ではないわけですよ。授業でもない、形式的には好きにやっているものに国が口を出すという事態は『国がどんだけ介入しているの?』ということになります。部活とは、実は介入しにくい分野なんです」
――たしかに、子どもが好きでやっている、健康的に体を動かしているなど、いろんなことを盾にできますよね…。
内田「授業だったら、それは国が責任を持たないといけません。なぜなら子どもたちにはきちんと学ぶ権利を与え、学ぶ場を提供することが国の使命だからです。だから、そういうことについては国も考えますけど、部活は学校でやってもやらなくてもいい活動です。それが逆に現場の暴走を招く原因にもなっています。この前のシンポジウムでも話したことですが、規制がないことは一見するとよく聞こえるけれども、それは暴走を招くことにもなるんですよね。独自に好きなことをやり放題みたいな。
本当に、Jリーグはうまくトップダウンでマネジメントしています。私はそのほうがいいと思います。管理するとか、統率するとか、すごく悪いイメージがありますけど、ルールがない中で自主的にやらせてしまうと暴走する可能性は大きい。まあ、自由とか管理とかで『自由がいいのか?』というと決してそうではありません。管理することで、その中で楽しくやれるということなので」
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