子どものため、それとも学校のため? “誰がために部活はやる”のか
2019年07月17日
育成/環境
「部活動をしたくない」が打ち消される心理とは?
――実際、部活動の終わりの時間もそれぞれの部活が決めているだけで、20時くらいまで延々とやっている部もあります。
内田「だから、スポーツから試合を取り除いたら本当に面白くないと思うので、試合はみんな本気でやるべきです。ただ、部活をトップアスリート養成のように考えているのは別問題です。学校でスポーツをやるレベルは、例えばみんなで週3日の練習までというルールを作り、それを守りながらその中で練習をして試合で勝ち負けを競い合うというくらいが、私の中では理想だと考えています。
まずは、そこをもっと深く考えなければいけないと思います。スポーツで上を目指すのは当たり前です。でも、今のシステムでは、普通に部活動をやっているレベルの子たちまでもが、まるで全員がトップアスリートを目指すかのように、全国大会を頂点とした巨大なトーナメントの中に組み込まれています。だから、トップアスリート養成と趣味レベルというのは早めに分けたほうがよくって、そうしないとみんなが上を目指すほうに引っ張られてしまいます。中途半端にトップアスリートを養成しているかのように見える部活に、それこそサッカー界は早々に決別したんだと感じています。サッカー界は独自でやっていこうという雰囲気がありますよね」
――例えば野球だとか、他の競技に比べると、サッカーはスポーツをする環境としては高体連や中体連かクラブかという二つの道ができています。
内田「他の競技はみんなが高体連や中体連の管轄。その中に参加してトップアスリートを養成するような巨大なピラミッドを形成していて、その中からすごい選手が生まれるに違いないというイメージです。そうすると、ある程度は『週5日は練習したほうがいい』とか、『隣の学校は6日やっているから自分たちも6日やる』みたいなことでスポ根理論がどんどん過熱していきます。早くそれを止めないと…。例えば、夏にはたくさんの生徒が倒れているんですから」
――学校部活も「変えなきゃ」と思っている先生方もいると思うんです。そういう先生方が行動を起こす術というのはないんでしょうか?
内田「中学校の先生に、『来年度、部活の担当をやりたいですか?』と質問をすると、何割くらいがやりたい、何割くらいがやりたくないと答えると思いますか?」
――3割くらいがやりたい先生で、7割くらいがやりたくない先生ですかね。
内田「やりたくない人が多いって思うんですね。私はむしろ逆で7対3くらいだと思っていました。やりたい人が7割です。『みんな部活をあんなに熱く語るわけですから、多数派はやりたいんだろう』と。でも、意外に50対50の割合だったんです。半分がやりたくなかったら部活なんてとっくにもう衰退している、ある程度は停滞しているはずなんです。でも、この20~30年で練習量も増加しているような事態を考えると不思議です。
それを解くカギは『やっぱり子どものためにいいんだ』という理屈なんです。
『子どもにとっていいもんだ』と言ったときに、『僕、部活を担当したくないんですけど』とある先生が主張すると『えっ、あなたはなんのために教員になったの?』みたいな、『部活はやって当たり前だろ』という世界があるわけです。さらには、子どものために頑張っているという大義名分が『部活をやりたくない』という気持ちを消し去ってしまう部分が実際にあるんです。それで、みんな部活をやる方向へと駆り立てていく。教育的にはいい側面はたくさんあるし、だからこそ『NO』とは言えない部分があるわけです。『NO』という声が高まってきたのは、この2~3年くらいのものなんです」
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