「やればやるほどうまくなるわけではない」。久我山に学ぶ練習制限をポジティブに考える方法

2019年07月29日

育成/環境

7月の特集は「夏のトレーニングを見つめる」と題し、学校リスク(スポーツ事故、組み体操事故、教員の部活動負担・長時間労働など)をテーマに研究している名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授と、文武両道を掲げて全国大会でも素晴らしい結果を出している國學院久我山高校サッカー部の清水恭孝監督を取材。今回から清水監督に現場で「実際どのような環境下で、そして、どのような考えで指導しているのか」という話を聞いた。
      
【7月特集】夏のトレーニングを見つめる
   

取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images


Kokugakuin Kugayama v Maebashi Ikuei - 94th All Japan High School Soccer Tournament Quarter Final
      
國學院久我山高校サッカー部の環境とは?

――まず、クラブの環境から話を聞かせてください。
 
清水「部員数は181人です。一学年がだいたい60人くらい。グラウンドはサッカー部が専用で使えるのはピッチ半面より狭いくらいです。それをGK組を含めて7つのグループにわけています。月曜がオフで、火曜と水曜がピッチ半面、木曜は野球部がオフなのでグラウンド全面、金曜はピッチ半面、土曜もグラウンド全面が使えます。活動時間は火曜から金曜が15時45分に練習を開始して、通常は18時で終了です。原則として、学校が18時半までに完全下校です。ただ公式戦があるときは、学校の許可を得て30分だけ延長してもらっています。土曜は授業が終わってから13時半から15時半までです」
 
――活動時間は2時間ちょっとですね。
 
清水「そうですね。やれたとしても、2時間半くらいです。トップチームでいえば、一週間に全員がそろうのは1~2回です。8限目まである選手もいるので仕方ないですね」
 
――ピッチ半面分の使い方ですが、一つ広いスペースがありました。あそこでトップチームが練習しているんですか?
 
清水「トップを優先していますが、週末にそれぞれのチームが公式戦を目前にしている場合は、そのチームが優先的に広いスペースを使っています。平日だと木曜にグラウンド全面が使用できるので、そこで紅白戦を行うことが多いです。例えば、今日のように週末に大事な試合を控えているときは、他のチームに早めに切り上げてもらい、その後でトップチームがピッチ半面を使ってゲーム形式のトレーニングをしたりしながら調整しています。とはいえ、あのサイズですから大きな意味を持たせることも難しいです(苦笑)」
 
――清水監督の講演会を杉並区のスポーツシンポジウムで聞いたとき、テスト期間中の部活は原則禁止だと言われていました。
 
清水「基本的に学校に申請しないと、テスト期間中の活動はできません。活動時間も1時間だけと決まっています。ただし、日曜日の活動は禁止です。また、週末に公式戦が入っているときだけで、メンバーもその試合に関わる選手に限られます。顧問の先生に相談しながら柔軟に対応していただいています」
 
――年間の宿泊数が決まっていることにも驚きました。
 
清水「年間宿泊数はMAXで25日です。3泊4日をやったら、何回できるんだろ(笑)。おそらく25日も使っていないと思います。春休みと冬休みは、なるべく通える範囲の大会に出場していますから。それでも夏休みは遠征をしますから泊まりになります」
 
――学校、顧問の先生の中ではいろいろとルールがあるんでしょうね。
 
清水「顧問の先生が学校のルールの中で判断していると思います。全国高校サッカー選手権は首都圏開催ですし、うちの選手たちは自宅から通って戦っています。唯一泊まったのが、2017年の準決勝から決勝の間だけです。でも、特にネガティブにはとらえていません。『家のほうがリラックスできていいんじゃないの』くらいの感じです」
 
――確かに(笑)
 
清水「宿泊の遠征距離は500kmまで。だから、大阪はダメみたいです。以前、大阪のフェスティバルに誘われたんですけど、「大阪はダメね」と。例えば、昨年までは沖縄遠征をやっていました。石垣島とか。それは前監督が始めたんですが、石垣島から招待してもらう大会があり、正式な招待状が届いたので顧問の先生が学校にかけ合っていただき、学校側も「それなら、いいですよ」という部分もあるようです。でも、単純に強化遠征で遠出しますというのはNGです」
 
――朝練も禁止ですよね?
 
清水「正確には、禁止というか…そういう概念がないと思います。選手たちからは『0限』という授業があると聞きました。講習のようなものがあるようです」

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