「親が変わらなければ子どもは変わらない」。花まる学習会代表・高濱氏が“保護者の育成”に力を入れる理由【サッカー外から学ぶ】

2019年08月01日

育成/環境

花まる 高濱正伸
【花まる学習会の代表を務める高濱正伸氏】

「親の自立」の手助けをするのが“外の師匠”の大仕事
     
 高濱さんは、10歳からは親を振り払ってでも、自分の頭とコーチの言葉で考えることが大切になってくると言う。

 例にあがった子のように、お父さんに本音を言うことで自ら10歳の壁を突破できた子はいいが、親に何も言えないまま悶々としている子どものほうが多数派だろう。ジュニア年代のコーチは、子どもが親から離れる、または「親が子どもから離れて自立する」手助けをしなくてはいけない。

「親はわからないんですよね。教室をやっていて思うのは、接し方が変わりますよと言うことを知識としてお父さん、お母さんに伝えておくことの重要性なんです。5、6歳は、いわゆる“子育て”を『頑張ってくださいね。応援してます』でいいんです。でも、9、10歳になると一変します。こういうことが起きますよと宣言しておくんです」

 事前に知っておけば、親離れしたいサインを見つけたときに「ついにきたか」と覚悟もできる。聞いていたから対処の準備もできている。

「特にお母さんが心の準備をしておくことが重要なんです。成り行きに任せて、自分の感覚だけで年齢が進んでいくと、『最近、口出しすると反発するんですよ。反抗期ですかね』みたいな反応になってしまいます。私は反抗期で片づけるのは間違いだとはっきり伝えています」

 花まる学習会が特別な塾だからできているのではないか? たしかに選んで入れているわけだから、親の意識は高いかもしれない。しかし、意識の高さが、過保護や過干渉に転化することも多い。高濱さんだから、花まるだからと言うのなら、「サッカーコーチだから」こそできることもあると高濱さんは言う。

「子どもたちにサッカーを教えるのと同じように、サッカーを通じて親も学べる時間を設ける、座学でそういう勉強をしてもらうというのは、ぜひやってほしい」

 親との関係の持ち方については、「サッカーのことはコーチに任せてもらう」姿勢を徹底しているクラブも多いと思うが、これが行き過ぎて、「応援の声もあげてはいけない」「ゴールに喜ぶのも禁止」という、サッカーの楽しさを除外してしまうようなルールをつくらざるを得ない状況も耳にする。

「教育現場でもあちこちで聞きますよ。学校の先生も正直クレーマー、モンスターペアレンツに怯えています。教師を対象としたセミナー、講演に呼ばれるのですが、“塾の先生”に教師が聞きたいのは、親への対応なんです」

 親との関係、特にお父さんとの関係は、“飲みニケーション”で乗り切っているコーチも多いが、これも一つ重要なテーマだと高濱さんは言う。

「それは一つ重要なテーマですよね。大人同士は、飲み会などで関係を築くことはすごく有効です。花まる学習会では、先生が親をきちんと把握することからすべてが始まります。そのための仕組みもつくっていますし、面談の時間もきちんととっています。そこがある意味ノウハウの部分でもあるのですが。

 たとえば、何を言っても突っかかってくるお母さんがいたとします。こちらからはそのお母さんの問題行動が目につきますが、問題はむしろ別のところにあるという例も少なくありません。どういうことかというと、その母さんは『子どもが』と言うんだけれど、実は背景に母親自身の親子関係、自分のお母さんとうまくいっていないという問題が隠されていたりするんです」
     

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