サッカーを愛することから始まる。イングランドDNAによる指導方法
2019年10月09日
育成/環境指導者に問われる社会性とはどういうものか
——つまり、選手のアイディアや意思を指導者が受け止めることがイングランドDNAの根幹にあるというわけですね。
それが指導者自身の人としての部分、社会性だと思います。イングランドがどうプレーしたいのかというのが「イングランドDNA」です。先日、Jヴィレッジの方とも指導者教育やグラスルーツの育成などの話をしましたが、共通していた思いは「人のやり方を変えていくのはなかなか難しい」ということです。とても時間がかかるものです。日本では、例えばコーチが自分の振り返りをする人が少ない気がします。親や子どもに「どうでしたか?」と聞くと「いい練習でした」という人も多いです。
でも、ネガティブなフィードバックこそが次に必要なことです。そして、ネガティブなフィードバックをどう受け止められるかがコーチの人間性です。メンターはネガティブなフィードバックを与えられるだけの信頼関係、人間性のつながりをもたないと成立させられません。だから、簡単な仕事ではありません。イギリスでは私の下にメンターがいろいろといますが、その中の人たちが必ずしもハイレベルなコーチ資格を持っているとは限りません。
例えば、情熱的であったり、性格が良かったり、自分を成長させようとする意思があったり、自分のことをよくわかっていたり、コミュニケーション力が高かったり…。基本的に、イングランドDNAをしっかりデモンストレーションできる人がメンターになることができます。100チームあったら、100通りのDNAがあるわけです。つまり、ロボットを作らないことがメンターにとって必要な能力です。
——イングランドには、ポールさんのような「サポートメンター」が20人くらいいらっしゃるそうですが、そういう方々は人間性が豊かで、かつサッカーを理解している指導者だと思います。そのサポートメンターになっている方はどういう人なのでしょうか? 日本にも指導者に広く深くフィードバックをできるようなサポートメンターがいたらいいなと、ずっと思っていたので聞いてみたいです。
サポートメンターがどんな人なのか。んー、両親で例えると、あなたならどう定義されますか?
——両親ですか…。例えば、子どもにとって見本となる存在であったり、時に友達であったり、時に叱ってくれたりとか、いろんな側面が持っている人ではないかと思います。
サポートメンターもそれ近い存在です。メンタープログラムを受けて正式に(コーチ)メンターになるのですが、サポートメンターになるためにはまず書類を提出して審査に通らなければなりません。その上で、サッカーに対してどういう知識を持っているのか、自分がどういうものを信じてどうやるのか…。そういうことが認められた上で、ようやくサポートメンターになることができます。
最終的な審査では、イングランドFAの人たちとカフェのようなところでいろんな話をします。もちろん、サッカーだけの話ではありません。そこで「あなたはサポートメンターです」と認められて、資格を受け取ることができます。だから、先ほど質問した「お父さんお母さんで定義すると?」という質問と同じことです。
>>10月のイングランド特集の第三弾は「10月15日(水)」に配信!
【プロフィール】
ポール・ニアリー(Paul Neary)
育成年代ではU-16イングランド代表でキャプテンを選ばれ、プロではボルトンワンダラーズ、マンチェスターユナイテッドFC、ブラックプールでプレー。ケガにより引退後、指導者としてのキャリアをスタート。ノリッチシティレディース&ガールズFC、ケンブリッジユナイテッドアカデミー、マンチェスターユナイテッドFCのコーチ(現職)として実績を積む。
2014年からスタートしたイングランドFA「コーチメンタープログラム」ではサポートメンターとして250名以上の指導者やチームをサポート。また、同FAでコーチインストラクターとしてレベル1・2などの講義で講師を務める。現在はイーストアングリア大学のサッカー事業担当長として、サッカーを通して学生の人材育成および大学の付加価値高めることに尽力している。
また、マンチェスターユナイテッドFCでは主に海外のサッカーキャンプを担当。2018年のワールドカップ前にはアディダスが主催したサウジアラビアの代表チームのコーチ陣に対しての研修会が行われ、マンチェスターユナイテッドFCとレアルマドリードを代表してコーチインストラクターとして参加。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【第49回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会】出場チーム決定!2025.06.18
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、国際親善試合(vsスペイン女子代表)と「E-1サッカー選手権」に臨むメンバー発表!2025.06.18
-
「エリート女子GKキャンプU-15」参加メンバー発表!2025.06.17
-
「東北トレセン女子U-13」が開催!2025.06.10
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 東北トレセンU-13が開催!
- パスやシュートばかりでドリブルしない子ども
- 【第37回全日本少年サッカー大会】決勝大会ジュニサカ取材日記⑥「いよいよ頂上決戦! 技巧の名古屋か、得点力の鹿島か」
- 【第38回全日本少年サッカー大会】石川県大会 決勝フォトレポート&大会結果「豊富な攻撃の形を見せた美川FCジュニアAが、初の石川県代表の座に輝く!!」
- 目に見えづらいスキルを高める方法とは。『危機察知能力』と『オフ・ザ・ボール』の動きの指導方法を学ぶ
- 食べてすぐに運動しても大丈夫! 試合前にとりたい”消化の良い”食事とは?
- 【ジュニアユース セレクション】BLOSSON FOOTBALL CLUB(茨城県)
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】