「一発で行くな!」「体で行け!」でOK? 子どもたちに伝わりやすい日本語を考える
2019年10月18日
読んで学ぶ/観て学ぶ誰かに何かをしてほしいときや自分自身の考えを伝えたいときは、伝えたい相手の状況や特徴を理解しなければなりません。伝えたい対象が大人と子どもでは、情報量や経験に差があるので、同じ伝え方で伝えようとしても、子どもはなかなか解釈できないでしょう。ましてや判断を素早く行わなければならないジュニアサッカーでの試合において、指示をするときは、どのような表現で選手に指示をするのがベストでしょうか。
文●久保田大介(LOBØS FOOTBALL CLUB代表)
【前回】サッカーにおける技術の種類を、日本語に置き換えて細分化する

子どもを迷わせない伝え方
昔から、ジュニアサッカーの試合会場で必ず聞こえてくる声があります。
相手選手がボールを持ったとき、
「遅らせろ〜」
「足出すな〜」
「一発で行くな〜」
などなど。
僕はこれらの声は全て間違いだと思っています。だいたい「遅らせろ」と言われて、寄せ切れずにジリジリ下がってしまったら相手の思うようにやられてしまうし「足を出すな」「一発で行くな」と言われても、ボールを主体的に観てしまう子どもにはなかなか難しい。どうしても足を出してボールに触りたくなっちゃうじゃないですか。ボールを奪いたいし。
「体で行け!」
この言葉で子どもたちに伝わるでしょうか?
確かに相手のほうが良い状態で前を向きボールを持っているところに不用意に足を振り回していけば当然かわされてしまうし、ファーストディフェンダーが遅らせてセカンドディフェンダーがカバーに来るのを待つ、というのもわかります。
本当に考えなければならないのは、それをどのくらいの「あんばい」でやるのか。どの程度まで寄せて、どこまで下がって遅らせればいいのか、足出すなと言われても、じゃあいつどうやってボールを奪えばいいのか。「体で行け!」って、それこそ体のどの部分でどうやって行くのよ…と。
「遅らせろ、足出すな、一発で行くな、体で行け」
これらの声では、子どもたちに具体的な方法が何も伝わらないし、実際に試合を観ていると、そういった指導者と子どものギャップをよく見かけます。
要は、「相手に時間と自由を与えず、かわされず、簡単にさばかれないところまで寄せて、結果的にボールを奪いたい」わけですよね。
それを端的に伝える言葉としては
「邪魔しに行け」
これがとても効果的だと思います。
実際に「邪魔しに行け」と子どもたちに伝えると、これがまた面白いくらいに、ちょうどいい間合いのところまで寄せるんですよ。抜かれず、余裕も与えず、という絶妙な場所まで。
しかも人間の本能として「人の邪魔をする」ってけっこう楽しかったりするじゃないですか。良くも悪くも。だから「邪魔しに行け!」って言われたときの、その走る速さも確実に上がります。
そして子どもにとって邪魔は楽しいから、間違いなく簡単に足も出しません。相手が嫌がるところで、邪魔をし続けるはずです。
これが、「正しい間合い」なのではないでしょうか。
さらに言えば、一番原始的な邪魔の仕方は、おそらく「通せんぼ」でしょう。
この言葉ならば、園児にだって確実に伝わります。
さらに「邪魔しに行け」という響きには、ある程度の【抽象性】が残されているから、子ども自身が「この相手にはどの程度まで行けば邪魔できるか」を判断し、自由に配分してプレーに移せる。
でも、チームの中でのベースは共有できる。「邪魔できる場所まで寄せるんだよ」と。
例え、その配分が間違って失敗したっていいじゃないですか。そこからまた、子どもたちは学ぶことができるわけだから。
邪魔した後、次にやればいいのは「横入り」ではないでしょうか。
「横入り」
これ、人にされてムカつくランキングのトップ3に入りますよね。(笑)
相手がスピードアップしたり、ボールが少し離れた時にボールと相手の間に「横入りして奪っちゃおう!」と。
足ではなく、相手に近い側の腕と相手に近い側の足から横入りし、最後に、もう一方の足でボールに触ればいい。よく聞かれる「体で行け!」を具現化したのが、この「横入り」という言葉かなと思います。
「邪魔」と「横入り」でボールを奪う。
ぜひ、子どもたちに試してみて下さい。激しく寄せに行き、簡単に抜かれず、強度の高い対人プレーのトレーニングになるはずです。
しかも、邪魔と横入りはとても「楽しい」
これ、重要ですね!
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