サッカーに必要なのは「速さ」ではなく「早さ」? 言葉の使い方ひとつで指導が変わる

2019年11月15日

読んで学ぶ/観て学ぶ

言葉というものは不思議なもので、受け手の気持ちや伝え手の言い方ひとつで意味が変わってしまうことが多々あります。例えば、日本語でも漢字を使用した場合、同じ読み方でも意味が微妙に異なる漢字もしばしば。LOBØS FOOTBALL CLUBの久保田大介氏の連載コラム、今回は、日常のサッカー指導現場で何気なく使われる言葉や、その使い方の「変換」「置き換える」について考えていただきました。

文●久保田大介(LOBØS FOOTBALL CLUB代表)写真●佐藤博之


【前回】「一発で行くな!」「体で行け!」でOK? 子どもたちに伝わりやすい日本語を考える


スピード

サッカーに必要なのは「速く」ではなく「早く」!?

 普段のトレーニングの場で子どもたちに対し何気なく使う言葉や、その使い方。それを少し変換することで、きっと伝わり方も違ってくるのではないでしょうか。

 今、変換 という言葉を使いましたが、当コラムでは、言葉の使い方に関してはあえて「変える」ではなく「換える」という漢字を用いたいと思います。

 それは、言葉を違う言い方に「変換する」「置き換える」といったことがとても大切だし、効果的でもある、というのが当コラムの主旨でもあるからです。ご理解ください。

 では例えば、【速さ】という言葉。

 この漢字を使うと、あくまでもその意味は「足が速い」「パススピードが速い」といったように【速度】の意味として伝わりますよね。

 でもサッカーは、たとえ足が遅くても勝負ができるスポーツです。足の速さにはある程度の先天性があるかもしれませんが、たとえ足が遅い子でも、サッカーを楽しみ、そして遜色なく勝負してほしい。

 その意味で、同じ【はやさ】でも、重要なのは【速さ】ではなく【早さ】なのだと、子ども達にはよく伝えます。

「速く」ではなく「早く」。

 競争種目とは違い、サッカーはフライングが許される種目です。許されるというよりも、むしろ“どのようにフライングするか”というところが、局面での大きな分かれ目になるものです。

 相手よりも速く走る、のではなく、相手よりも“早く走り出す”。相手に触られないようにパスを出すのではなく、相手が予想していないタイミングでパスを出す。相手が反応するよりも、早く。

 イチ、ニのサン!で相手とボールを競り合うのではなく、相手よりも「先に」ボールに触る。

 そう、【早く】という言葉は、【先に】という言葉にも置き換えられますね。

 この「相手よりも早く、相手よりも先に」という概念は、相手がいて、相手とコンタクトがあり、一つのボールを奪い合う…そんなサッカーという種目の原理原則にもつながる、普遍的な概念ではないでしょうか。

相手よりも先にボールに触る
相手に反応される前に、読まれる前に、パスを出す
相手よりも先に動き出し、パスを受ける

 これらを意識するだけで、子どもたちは、ただボールを見て、ただボールを追い、ボールが来てから考える…といった「初心者」の段階から一歩踏み出せる、一つのきっかけになるのではないでしょうか。

言い換えでいうならば「相手よりも先にボールに触る」これを、意味は変えずに、違う言い方に変換してみて下さい。

考える時間は10秒。はい、よーいドン。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 どうでしょうか。正解は「相手にボールを先に触らせない」です。これ、発想が柔軟な子どもならばあっという間に答えられます。

先に触る = 先に触らせない

 つまり、相手よりも先に触りたいのならば、頑張って速く速く足を出して触ろうとせずとも、相手に触らせないようなボールへの入り方をすればいいわけです。

 触りたい足を頑張ってボールに向けて伸ばす前に、相手を手で制し、触らない足で相手とボールの間に入ってしまえば相手は先に触れない。イコール、相手よりも先に触れる。

 これは一つの例ですが、こうして言葉を違う漢字に置き換えたり、違う言い方に変換することで、子ども達にとってとてもわかりやすく、しかもすんなりと「コツ」まで伝えられる。

 僕はいつも、こんな感じで子ども達に対し指導しています。

コイントス

言葉の使い方ひとつで子どもの意識は変わるのではないか

 言い換えといえば攻撃、守備の解釈の仕方や概念の話にもつながるのですが、試合開始時のコイントスの際、勝った方がコートをどっちにするか選びますよね(新ルールでは勝った方がコートかボールを選ぶことができるようになりましたが)

 で、ジュニア年代の試合では、コートを選ぶことになったキャプテンに、主審の人はきっと99%こう聞いているのではないでしょうか。

「どっちに攻める?」と。

 試合だけでなく、普段のトレーニング時のゲームでもきっと、子どもたちもコーチも「どっち攻め?」って言葉を使うと思います。

 よく「日本には守備の文化がない」とか言われますね。この問題は、根深いものがあると思います。

 攻撃の練習は好きだしよくやるけれど、守備は個人の能力任せ。高校レベルでもそんなチームはよく見かけるし、実際、守備の考え方やどのように守備をしていくかを学んできていない、触れてきていない選手が非常に多い。これは、一つの傾向として間違いなくあると思います。

 コイントス時の「どっち攻め?」を、小さい頃から当たり前のように「どっち守る?」と言われ続けてきたら、これどうなるんですかね。

 どっち攻める?ではなく、自然に、当たり前のように「どっちを守る?」と刷り込まれ、サッカーはボールだけでなく、味方と協力しながらコートを守るものなんだという概念で過ごしていったら。

 前に攻めるだけでなく、いかに自分たちの陣地をデザインしコントロールするか。そんな意識とトレーニングが、当たり前になっていったら。

 コイントス時の「どっち攻め?」を言い換えるところから、うちでも始めてみようかと思っています。

 他にも良い言い換え、置き換えのアイデアがあったら教えて下さい!


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