ボールホルダーのほとんどは“利き足側への突破”を狙っている! 対人守備の基本動作『中西』とは
2020年07月31日
戦術/スキル前回の「1対1でボールを奪えるようになるには? 球際の戦いに勝つ“確率”を高めるDF法」において、1対1でボールを奪うためには、相手を観察することによって得た情報をうまく生かすことが重要であることがわかりました。今回は5種類の型のうちの一つの「動作」を説明していきます。一番初めに登場するのは、すべての基本となる、利き足を消せる【中西】 から。8月5日に発売となる『枝D ボールも自由も奪い取る術~守備からみるフットボールの新しい景色』より、“DFの型”について一部抜粋して紹介します。
『枝D ボールも自由も奪い取る術~守備からみるフットボールの新しい景色』より一部転載
文●内田淳二 写真●幡原裕治
【前回】1対1でボールを奪えるようになるには? 球際の戦いに勝つ“確率”を高めるDF法
シチュエーション1[中西] (突破)
背負っている相手が、利き足側(自分から見て左側)への「突破」を狙っている場合は、中(おなか側)から行く【中西】です。
《相手の心理と状況》
相手が右足で突破するということは、自分(守備側)に対して得意な利き足側へ「突破できる」と自信を持っている状態。実際にボールが転がる軌道は、ホルダーの軸足(左足)よりも左側になります。
《足》
ボールの位置からホルダーの軸足(左足)の位置を結んだ線上ではなく、「ボールが実際に転がる、ホルダーの軸足(左足)よりも外側の軌道上に、自分の左足(枝の足)を置く」ことが必要になります。
そのためには、現在立っている位置から何とか自分の左足を軌道上に置こうとしてはいけません。「軌道上に自分の左足を置ける位置にまず右足を置く」のです。その位置に右足があるから左足が届くのです。
《腕》
腕は、「同時に(何なら腕が先ぐらいのタイミングで)左腕をホルダーの背中側へ回す」ことが重要です。自分の左足(枝の足)と背中側に回した左腕の間に、ホルダーがいる状態になっていますか? そうなっていれば【型】はできています。
《仕上げ》
大事なのはここからです。その状態で自分の体重がどちらの足に乗っているか見てみてください。おそらく右足でほとんど自重を支えていて、左足(枝の足)が伸びている状態だと思います。
ここから、「軌道上に置いた左足(枝の足)に全体重を乗せに行きながら、同時に相手の背中側へ回している左腕を、枝の方に巻き込み、左脇に抱えるように、クルッと入れ替わる感じで相手の軸を崩す」のです。「相手を前のめりに倒す」形です。
相手の心理や状況を観察しながら、足・腕・仕上げの内容をすべて同時に行います。
結果的に、足元にボールが残ったと思います。あとは残ったボールを、「左足(枝の足)に乗っている体重移動をそのまま利用して、動かすことができるようになっている右足のアウトサイドで回収してカウンター」を繰り出します。この「動作」が【中西】で、相手の「利き足を消せる」型の動作になります。
・つま先がボールに行ってしまっている。
・右足の軸足の位置が遠いことで、左足(枝の足)がボールの軌道上に届かない。
・左腕の手のひらが、相手を抱える向きではなく裏拳の向きになっている。
・左腕を添えているだけ、もしくは枝の方に巻き込まずに横に押してしまう。
・左腕で巻き込む際に枝の足に体重が乗っていない。
続きは『枝D ボールも自由も奪い取る術~守備からみるフットボールの新しい景色』からご覧ください。
【商品名】枝D ボールも自由も奪い取る術〜守備からみるフットボールの新しい景色〜
【発行】株式会社カンゼン
2020年8月5日発売
枝D(ディフェンス)とは、元Fリーガーである内田淳二氏が考案するまったく新しいディフェンス理論のことです。
サッカーやフットサルはもちろん、ゴールを目指す球技であれば、広く活用することができる概念です。
枝Dは、意図的に数的優位を作り出せる攻撃的なボールの奪い方のことで、自分の足元にボールを「残す」ことができます。
なぜ「残す」なのか ?もちろん答えは1つ。全ては得点(ゴール)のために─。
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