相手のボールタッチミスがプレッシングスイッチとなる。ペップが狙う相手陣内での効果的な守備戦術とは
2020年08月06日
戦術/スキルただ闇雲にボールを追いかけ回すだけでは、ボールを奪うことができずに体力を浪費するだけで終わってしまう。ペップ・グアルディオラが率いるマンチェスター・シティは、高いボール支配率で攻撃を組み立てている。その高い支配率を裏で支えているのはチーム全体でのボール奪取力の高さである。集団でプレッシングをする際にどのようなタイミングでボールを取りに行くのが効果的なのか、現在発売中の『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』から紹介する。
『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』より一部転載
文●リー・スコット 監修●龍岡歩 翻訳●高野鉄平 写真●Getty Images
相手選手がボールタッチを誤った際に発動するプレッシング
グアルディオラのシティが用いるプレッシングのトリガーの一つ目は、相手選手がボールタッチを誤った際に発動される。図27は、相手のCBが中盤の底の選手へとボールを送った場面を示している。ここで受け手の選手がファーストタッチを失敗し、ボールがバウンドして少し体から離れてしまったとする。
このタッチミスがトリガーとなり、シティの3人の選手がプレスをかけてそこを狙いに行く。CFのセルヒオ・アグエロと、2枚の「8番」であるD・シルヴァとギュンドアンが全員ボールへと向かい、相手選手の周辺のスペースを狭めようとする。ボールタッチのミスがあったことで、相手チームはすぐに混乱に陥ってしまう。シティの選手の動きを確認するのではなく、ボールをもう一度支配下に置こうとすることだけに集中してしまう。相手側の選手が注意力を乱されたわずかな時間が命取りとなり、シティの選手はスペースを狭めてボールにプレッシャーをかけることが可能となる。
図28でも同様の例を示しており、相手チームは守備位置からプレーを組み立ててボールを前へ進めようとしている。縦パスが出されたところで、ボールを受けようとした選手のトラップがルーズになってしまい、パスの出し手である選手の方向へボールが転がる。
このトラップミスもやはりプレッシングのトリガーとなり、シティの4人の選手が自分のポジションから動き出してボールへ寄って行く。トラップミスを犯した選手は、もちろんボールを拾い直して 後方へ戻すことはできるが、この時点でもうプレッシングの動きは開始されてしまっている。シティは後方へのパスに対してさらにプレスをかけ、相手DFがプレーするために必要なスペースを狭めていく。
最初のトラップミスが一連のリアクションを生み出し、バックパスを受けた相手DFが前線へ苦し紛れのパスを送ることで、シティはボールを奪い返すことができる。
シティがいつボールを奪いに行くかを決定するために用いるプレッシングのトリガーの2つ目は、ボールがサイドのエリアへとパスされた瞬間だ。このトリガーを理解するのは難しくない。選手がそういったエリアでボールを持った時、動ける範囲が限定されてくることに基づいている。片方をタッチラインで塞がれているため、ボールを持った選手は180度の範囲でしかプレーすることができず、選択肢は限られている。
つづきは『ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル』からご覧ください。
【商品名】ポジショナルフットボール教典 ペップ・グアルディオラが実践する支配的ゲームモデル
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2020/4/22
【書籍紹介】
なぜバックラインからビルドアップするのか?
なぜサイドバックは中央へ斜めに走るのか?
なぜ「4番」には「プレス抵抗力」が求められるのか?
なぜ一人はボールと反対側のワイドな位置にいるのか?
なぜウイングが曲線的に中央へプレスをかけるのか?
なぜ守備ブロックはサイドを空けているのか?
なぜ「8番」はハーフスペースを占めるのか?
すべての答えはこの教典の中にある。
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