日本人選手は「状況判断を求められるポジションには大きな問題がある」。新潟・アルベルト監督が語る日本サッカーの問題点
2021年06月07日
育成/環境17節を終えて現在J2の首位に立つアルビレックス新潟を率いてるのはアルベルト・プッチ・オルトネダだ。スペインのカタルーニャからやってきた指揮官は、バルセロナの若手育成に従事したり、久保建英やアンス・ファティを発掘した経歴をもつ。そんな育成経験に富んだ指揮官から見て、日本の育成はどのように写っているのだろうか。本日発売の『フットボール批評 issue32』より一部抜粋して紹介する。
取材・文●小澤一郎
シオンと出会った時 彼は守備を知らなかった
――そういった話を聞く限り、やはり日本サッカー界の課題は育成にあると思えるのですが?
日本人選手は状況判断を伴わない反復練習をする傾向にあります。だからこそ、技術レベルが高いとも言えます。
先程指摘をしたポジション特性で言えば、日本は高度な状況判断がさほど必要ではないサイドのアタッカー、ウイングにいい選手を輩出する傾向にあります。技術、スピード、敏捷性があり、ドリブル突破のスキルも身につけている。だから世界基準の選手を輩出する上で、日本人に一番可能性のあるポジションです。
一方で、試合のイニシアチブを握ることに直結する、優れた状況判断を求められるポジションには大きな問題があります。
それは育成年代でそういう指導がなされていないからです。日本の育成全体を見ているわけではありませんが、これまで私が見てきた育成年代の練習では人よりもコーンやマーカーが置かれた状況下でのメニューが多かったです。
サッカーはとてもシンプルですが奥の深いスポーツで、特に各状況下で継続的に判断を求めていく練習を小さい頃からしておく必要があります。これまで聞いている話も含めて総合的に判断するに、日本の育成年代ではあまりにアナリティックな反復練習が多いようです。
米国ではフィジカル的な練習が多すぎるのが問題です。そこには日本の文化的背景も関係していて、「時間をかけて練習すればするほど向上する、上手くなる」という信仰があるのでしょう。一般的には「量より質」が当たり前の考え方なのですが、日本サッカー界の育成年代では量を追い求めた指導が行われています。
だからこそ、必要なことは国としての育成デザイン・システムで、それは日本サッカー協会の仕事となります。ピラミッドの頂点にあたる代表の強化も重要ですが、それは一時的な成功こそあれ、継続的な成功はありません。
Jリーグにもリーグとしての競争力の向上が課題としてあります。経済的には恵まれていると思いますし、オーガナイズの面でも素晴らしいものがありますので、それはメリットとして有効活用すべきでしょう。
いつも言っていますが、欧州の次にポテンシャルのあるリーグは今、中東、米国、日本だと思いますし、現状その中で3番手に甘んじていると思いますが、もっと上のレベルに位置すべきリーグであり、国です。
全文は『フットボール批評 issue32』からご覧ください。
【商品名】フットボール批評 issue32
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/06/07
【書籍紹介】
禁断の「脱J2魔境マニュアル」
我が国が誇る2部リーグ・J2は、「魔境」の2文字で片付けられて久しい。この「魔境」には2つの意味が込められていると考える。一つは「抜け出したいけど、抜け出せない」、もう一つは「抜け出したいけど、抜け出したくない気持ちも、ほんのちょっぴりある」。クラブの苦痛とサポーターの得体のしれない快楽が渾然一体となっているあやふやさこそ、J2を「魔境」の2文字で濁さざるをえない根源ではないだろうか。
1999年に創設されたJ2は今年で22年目を迎える。そろそろ、メスを入れることさえ許さなかった「魔境」を脱するためのマニュアル作りに着工してもよさそうな頃合いだろう。ポジショナルプレーとストーミングのどちらがJ2で有効か、そもそもJ2の勝ち方、J2の残留におけるメソッドはできないものなのか。このように考えている時点で、すでに我々も「魔境」に入り込んでいるのかもしれないが……。
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