指導者自身が成長する“好循環”を作るには? ドイツで指導歴21年の中野吉之伴に訊く「学びと実践のサイクル」
2022年05月24日
インタビュー前編では初心者コーチが、どのようにチームの始動に入っていけばいいのか、またそういった人がチームで潤滑油として大切な存在になるということを教えていただきました。後編では、子どもたちとの関係性やアプローチについて訊いています。
取材・文●加藤健一(ジュニサカ編集部) 写真提供●中野吉之伴

指導者が前提として知っておくべきこと
――指導をしていく中で、注意したり、指摘したりしなければいけないときも出てくると思います。
「まずは、子どもたちはミスをしようとしてミスをしているわけではない、ということを指導者として知っておく。同じように、指導者を怒らせようとして何かをやっているわけではない。一生懸命やろうとした中でうまくいかないことで、こちらがイライラすることになってしまっているだけ」
「それを最初に分かっておかなきゃいけないと思うし、(子どもたちが)うまくいっていないことに気づいていないこともある。指導者からしたら『なぜそんなことをするんだ』ということも、本人はミスじゃないと思っていることはたくさんある」
――そのようなときはどんなアプローチをしますか?
「たとえば、ドリブルやパスをしてボールを奪われたとき、『さっきのプレーどうだった?』とプレーを振り返るところからスタートして、仲間や相手はどうだったのか、どうしたらいいかを丁寧に説明する。時間はかかるんですけど、一方通行じゃなく、子どもたちと一緒に一個一個やっていくと、『次はこうしよう』と考える力が身につく。そのための支え、アドバイスが低学年から中学年にかけては指導者として大事な役割と思ってます」
指導者としての好循環とは?
――子どもたちと寄り添うことが大切ですね。
「もちろん、指導者は指導者としてちょっとずつでも学ぶことが重要だと思うし、学んだことを実際にやって変化が出たら嬉しくて充実感もある。そういうサイクルになると、次はこういうことを勉強したいとなる。そこにうまく乗れるかは必要だし大事だなと思う。社会人も同じだと思いますけど、やりがいとやってることと充実感と学びと努力とのサイクルがうまくいってるときは楽しい」
「学ぶことで現場に還元できるものは増えてくるし、子どもたちがポジティブに変化して、それに携わっている自分が楽しみを持って関われて、という好循環が生まれると思う。時間をちょっとでも作っていろんなことに顔を出してかかわったりすると、人生においても得られるものが多いんじゃないかなと。1人の指導者って何十人をも幸せにできる可能性を持っているので、それを大事にしてもらえると嬉しい」
――中野さんはドイツにいながら、4月からオンラインサロンを始められたんですね。
「サッカーというスポーツは――という話から、指導者に必要なこと、トレーニングを作るときの注意点とか、継続的に学べる場所をオンラインサロンという形で提供しています。何年か指導してきて、そういったものを順序だてて学べる場所がいいなと思って入ってくださった方も多い。門戸は広く空けていますけど、経験者の方でも体系的に学びたいという方には良い場所だと思います」
「各月で3部構成になっていて、講義はウェビナーで見てもらい、ワークショップではこちらからテーマを与えて、実際に現場でどういった形で落とし込めるのか、アレンジやコーチングの仕方を話します。それと、講義とワークショップの後、現場で気になったことが振り返れる機会もあります。定期的にグループ用のページにコラムを書いたり、参加者とのやりとりもやってます」
前編はこちらから
【プロフィール】
中野吉之伴(なかの・きちのすけ)
サッカー育成指導者・サッカーライター。2001年にドイツに渡り、ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを取得。サッカーライターとして活躍する傍ら、ドイツでも様々なカテゴリーの監督を歴任。オフシーズンには日本でも子ども向けのクリニックや保護者、指導者向け講演会を行う。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ)がある。
中野吉之伴氏が運営するオンラインサロンはこちら
ドイツ公認A級きちコーチと学ぶ 子供達とサッカーに夢中になれる指導者ゼミ
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