「全国大会=勝利至上主義ではない」。本田圭佑が明かす「U10年代全国大会」を創設した意図と狙いは?

2023年08月02日

育成/環境
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男子サッカー元日本代表の本田圭佑は1日、千葉市の『ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA』で、自身が考案した10歳以下を対象としたサッカー大会『4v4 U10』の記者会見を行った。

取材・文:ジュニサカ編集部


 近年、日本のスポーツ界では育成年代での全国大会実施是非について議論されることが増えてきた。全国大会があると、指導者や保護者が必要以上に加熱してしまい “勝利至上主義”が横行してしまう影響があるからだ。

 全日本柔道連盟が、「心身の発達途上にあり、事理弁別の能力が十分でない小学生が勝利至上主義に陥ることは、好ましくないものと考える」を理由に小学生の全国大会を2022年に廃止したことも議論に拍車をかけた。

 そんな『育成年代の全国大会は廃止すべき』という流れがあるなかで、一見すると時代と逆行するアクションを起こしたのが日本サッカー界の異端児“ケイスケ・ホンダ”だ。「柔道は小学生に減量を強いるなど特有の事情がある」と前置きしつつ、「僕は全国大会=勝利至上主義につながるとは考えていない。大人視点で見る勝利至上主義には反対だが、上を目指したい気持ちを持っている子どもたちが勝ちたいと思ってトライしたプロセスには価値がある」と、U-10年代の全国大会を創設した理由を語る。

 本田が考案したU-10年代の全国大会『4v4 U10』は、4人制で32m×15mのピッチサイズで行われるが、普通のサッカーやフットサルとは一線を画す独自のルールがある。例えば、「監督なし・交代自由」というルールだ。フィールドには、コーチや保護者など大人は入ることができず、選手たちは自分たちで戦略を考え、選手交代などのタイムマネジメントを行う必要がある。

 これは大人が介入することによる“勝利至上主義”抑制の意図がある。一方で懸念されることもある。「こういうルールがあると、今度は応援エリアのほうから指示が飛んだとかがでてくると思います。そういった行為には、ペナルティなども考えています」と、ルールに関しては今後も試行錯誤していく改正していく可能性も示唆した。

 また、全国大会を実施することについては賛成の本田だが、自身の経験から、現スポーツ界でスタンダードとなっている『トーナメントの一発勝負』には懐疑的な立場だ。

「僕自身U-12のときに(全国大会の)予選が一発勝負であっさり負けてしまった記憶があります。今考えると、なんてチャンスが少ない大会なんだろう、と。もし負けたとしても『次に勝てばいいじゃないか』というマインドを持っている子たちを一人でも増やすような大会にしたい」という意図から、『11月末のシーズン終了時点でポイントランキング上位32チームとゴールドランク大会で優勝した16チーム』に年末に行われる全国大会に出場できる権利が与えられるという“何度もチャレンジできる”仕組みを考えついた。

 現在のサッカー界、日本社会に疑問や不満があるという本田自身が考案し、発起人となった大会は、スポーツ界のみならず社会に一石を投じるような内容になるのだろうか。今度の展開に注目したい。

 なお23年12月24、25日に行われる全国大会の模様は『スポーツブル』で配信される。また、決勝戦はインターネットTV局『ABEMA』でライブ配信される予定だ。

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