ビルドアップを磨くトレーニングメニュー&オーガナイズ【スモールサイドゲーム】

2024年03月15日

サッカー練習メニュー

前回の記事ではビルドアップ能力を自然に高めるためにスペインで行われるオフサイド(制約)付き7人制サッカーのデザインやその練習の意図などを紹介した。そこで今回はより具体的にビルドアップの力を養うためのスモールサイドゲームのトレーニングメニューを『サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門』より一部抜粋して紹介する。

著●内藤清志


課題となるタスク
 自陣からボールを回して攻撃を組み立てたいが、相手選手のプレッシャーを感じてしまい、雑なプレーや適切な判断が行えない場合が多い。ビルドアップの基本をマスターして落ち着いてビルドアップできるようにする。

オーガナイズ
 ピッチは、スペインの7人制サッカーのオフサイドラインの 要領で“ビルドアップライン”を設ける。

 ゴールキーパーからボールを受けた選手が一人で持ち上がるのではなく、ビルドアップラインよりも後方で味方との間でボールを動かしながら相手の様子をうかがう。ビルドアップラインを突破するタイミングは、相手選手のスライドが間に合わなくなった(ボールの動きに追いつけない)とき。

 低学年など初めてビルドアップに取り組むときは、“ビルドアップ”という言葉は使って理解させようとせずに、ルールとしてビルドアップの優先順位だけを伝える。大人の考えるビルドアップという形になるように制約でルールを決めれば、自然にビルドアップが身についていく。

ビルドアップラインの優先順位
1: 前にボールを持ち出せる状況になっていれば縦にパスを出す
2: 前にボールを持ち出せない状況であれば横にパスを出して相手の様子を見る

引き出したい動き
 ビルドアップラインを突破するタイミングは、相手選手のスライドが間に合わなくなった(ボールの動きに追いつけない)とき。

時間
 ゲームに近い形式であるため、実際のゲーム時間を設定しても問題はないが、現象を引き出せなかったときにフリーズさせてコーチングをしてしまうことが考えられる。制約主導アプローチは、フリーズによるコーチングはしないことが基本であるため、短い時間で繰り返し行い、ゲーム間のインターバルで選手だけのミーティングをさせ、互いに感じた事柄を共有するようにもっていく。狙い通りになってきたら時間を延ばせばよい。

▼例:4~5分 → ミーティング → 4~5分

キーファクター(コーチングのポイント)
・相手のスライドを遅らせるには、横へのパスの質をあげること(パススピードや横方向へのターンがスムーズであること)。
・ビルドアップ時にパスを受ける選手はボールが来る前に自分の前の状況を把握していること。ビルドアップラインの制約があると、最初に横方向にパスを出すことから考えてしまいがちだが、前にボールを持ち出せる状況であれば横パスでボールを回す必要はないということを思い返させる。


全文は『サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門』からご覧ください。


【商品名】サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2024/03/14

【書籍紹介】
エコロジカル・アプローチにもつながる本質的なサッカーコーチングバイブル

トレーニングメニューを真似するだけでは選手の成長にはつながらない
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