池上コーチの一語一得・特別編第2弾 「オフ・ザ・ボールの動き、教えていますか?」
2014年06月03日
コラム池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は特別編第2弾。取り上げるテーマは「オフ・ザ・ボールの動き」です。子どもたちの中には、指導者から、「ボールがないときの動きを意識しよう」と言われて、どういう動きをすればいいのか、わからず混乱することも少なくありません。そこで今回は子どもたちが自主的に考えられる選手になるために、池上さんが伝授するオフ・ザ・ボールの動きを養う育成術をご紹介します。
構成・文●島沢優子
『ジュニアサッカーを応援しよう! vol.32春号』P150-152より一部転載
■今からでもできる、オフ・ザ・ボールの動き5つのポイント
「小学校低学年でだんごサッカーを経験しないと、子どもたちは広がっていかない」日本では長らくそう言われてきました。3年生くらいまでだんごサッカーをして、4年生くらいから広がってパスをつなぎ始めるというわけです。でも、そうやって育成をしてきた今の日本の子どもたちは、ボールが左サイドに出たら、右サイドの子は「自分は関係ない」という感じでまったく動きません。
また、例えば最後尾のDFから前にいるFWに大きなパスが出たとします。でも、子どもたちはラインを上げずにじっと立ったままです。ベンチから「上がれ!」と指示されてようやく動きますが、これは自分で判断して動いたものではないのでオフ・ザ・ボールの動きをしたとは言えません。
このように日本の子どもたちは「ボールがないところで何をしたらいいか」をあまり理解せずにサッカーをしてきました。要求されなかったからできなかった、とも言えるでしょう。ですが、それでは、人もボールも連動して動くことが要求される現代のサッカーで通用しません。
では、どうしたらいいか。ポイントを5つ挙げてみましょう。
①少人数でサッカーをさせる
ボールがないところの動きを理解して習得するためには、人が多すぎるとわかりません。欧州などサッカー先進国でずっと以前から4~8人制でジュニアの試合を行っているように、日本のジュニアも完全に少人数制にしなくてはなりません。
お勧めするのは4人制です。4対2、4対3などを練習から取り入れます。低学年なら2対1を繰り返し行いましょう。そうすれば「いつも自分はボールとかかわっている」という感覚を養うことができます。いつもかかわっているので、常に考えなくてはなりません。ジュニア期にそのような感覚を身につければ、中学年代の試合で指導者が「もっと、全員でかかわれよ!」と叱る場面は減ってくることでしょう。
加えて、現場のコーチだけでなく、大会を運営する側も考えなくてはいけません。何かの記念大会やカップ戦など、小学生の試合がいまだに大ゴール、大ピッチ、11人制で行われています。これでは試合中に休む選手が多くなり、オフ・ザ・ボールの技術は磨かれません。
②オフ・ザ・ボールの動きは「技術」
技術指導は、まず「ボール有り」と「ボールなし」の二つに分かれ、「ボールなし」の技術もまた2種類に分かれると私は考えています。ひとつはフリーランニング。オープンスペースを見つけて走ることですが、その先のプレーはゴールを意識したものになるのが理想的です。
もうひとつは、ポゼッション、もしくはサポートする動き。単純にこの二つに分かれます。ミニゲームの際、声がけをして意識させるだけでも変わってきます。選手が動けなかったときに問いかけます。「今、どこにスペースがありますか?」「どこに行ったらもらえますか?」「今立っている場所はそこでいいですか?」そのような声がけをします。
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