池上コーチの一語一得・特別編第2弾 「オフ・ザ・ボールの動き、教えていますか?」
2014年06月03日
コラム③チャレンジを促す
「パスをつないでいこう」と声がけすると、ボールを奪われるのを恐れてサポートばかりいく選手が出てきます。すぐにバックパスを要求するバックやボランチ、ゴールに背を向けたままもらったボールをはたいたら動かないセンターフォワード。確かにパスはつながりますが、ゴールチャンスは一向に訪れません。
そのような場合は「そこでチャレンジしませんか?」と聞いてみてください。判断が悪いわけではなくて、ゴールへ向かってチャレンジする動き、要するにサポートではなくフリーランニングを促しましょう。そのためには、子どもに勝利ばかり追い求めたり、ミスを叱ったりしないことです。
試合中から「逆襲されるから上がるな」とか「おまえが上がったら、上がったスペースをつかれるから上がってくるな」と言ったり、「逆サイドに流れるな」などとポジションを厳密に守る指示を出してはいけません。子どもたちがリスクを冒しても、各々の気づきやアイデアでどんどん動く雰囲気を作ることが大切です。
④考えるベースを教える
ボールのないところの動きが理解できなかったり、頭ではわかっていても実践できない子もいます。ですので、最初にいくつかの決まりごとを教えることも必要です。ディフェンスをつけない状態で、いくつかのパターンで動きの確認をします。
例えば、中盤からトップに当てて、サイドに落としてからゴール前にクロスを上げる。トップに当てたボールを中盤にリターンすると同時に、サイドバックが前方のスペースに上がる。どのパターンも、ボールが動いた瞬間に周りの選手が動きだすことが大事です。その動きを覚えながら、途中でパスが通らなかったり、衝こうとしたスペースを相手に読まれて埋められたりしたときにどうするか。そういったこともイメージさせてトレーニングするといいでしょう。
⑤マンツーマン守備をつけた攻撃
最終的に試合でどんどん連動して動けるのが理想ですが、その前に守備をマンツーマンでつけてアタックの練習をしてみましょう。4対4などがいいでしょう。マンツーマンで守られると、攻撃側はなかなかパスを受けられず困難な状態に追い込まれます。
なぜなら、ついてくるディフェンスを振り切らなくてはならないので、ボールを受けるための呼び動作にたくさんの工夫をしなくてはなりません。京都で私が担当するスクールの子どもたちに「ディフェンスはマンツーマンで」と指示すると、みんな嫌そうな顔をします。ただし、マンツーマンで攻防させておくとゾーンディフェンスの相手と試合をするときはスムーズにボールを受けられるようになるはずです。
以上のポイントを念頭に置いて、指導を行ってください。段階としては、冒頭でお伝えしたように低学年は2対1をさせます。ここでは動きのセオリーよりも、個々の特徴を磨いて自由にプレーさせることを心がけてください。フリーランニングは高学年になってからでもいいでしょう。逆サイドからななめに走ってきて、そのサイドにいた味方と重なったりしてもそこは何も言わずに流しましょう。何度も重なったら、そこを指摘し「ふたりで相談してごらん」と促せばいいのです。
<プロフィール>
池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。2014年6月刊行の『少年サッカーは9割親で決まる』などの監修もしている。
近刊情報
『少年サッカーは9割親で決まる』
ジュニサカ賢人・池上正氏が監修した最新刊『少年サッカーは9割親で決まる』 。これまでに『一語一得』に寄せられた「練習」「試合」「自宅」などでの指導者や保護者の子どもに対する悩みや、子どもを取り巻く大人に関する疑問と、池上さんの答えを再編集したもの。マンガもついているので、それを見ながら、答えを読むことでより楽しく理解度が深まる一冊!
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