地区トレセンの今。「強化や選抜が目的ではない」伊勢原トレセンの取り組み
2017年11月13日
コラムトレセン(TC)とは、簡単に言ってしまえば選抜された選手たちが高いレベルで練習をするための制度です。日本サッカー協会では、ナショナルトレセンを頂点とし、地域トレセン、都道府県トレセン、地区トレセンに情報を発信をし、グラスルーツの選手及び指導者たちのレベルアップが目的であるとしています。では実際「トレセン」の現場では何が行われているのか。神奈川県にある伊勢原市のトレセンの活動現場を訪れました。
取材・文・写真●山本浩之

地区トレセンは特定の一人を“上手くさせる”場ではない
今年6月に『2017 COPA BELLMARE U-11 PILOT INTERNATIONAL TOURNAMENT』が開催された。国内外の24チームによって競われ、優勝はブラジルのパルメイラス、準優勝にはスペインのビジャレアルが輝いた。湘南ベルマーレのホームタウンから8つの地域トレセンも参加し、なかでも最高位の4位となったのが伊勢原トレセンである。準決勝まで勝ち上がるとビジャレアルと対戦。2-3で敗れはしたものの、先制のゴールを決めるなど好ゲームを演じてみせた。
「昨年度の伊勢原トレセンは、この大会(2016年のコパベルマーレ)が基準になりました。ここで体感した世界との差を大切にしながら活動をしてきました。今大会も、ビジャレアルなどは、ポゼッションやボールの置き所、ボールを失わないように前進するスタイルなど、やろうとしているサッカーにトップまで一貫したスタイルがありました。パルメイラスにしても、個人の技術や能力を存分に生かした中で、チームとしての約束事もはっきりしていました。どちらのチームもとても刺激的で、且つ勉強になりました」
伊勢原トレセン・安倍龍介U-11監督は、ビジャレアル戦を終えて、そのように振り返った。あのとき、会場の馬入ふれあい公園サッカー場(神奈川県平塚市)は雨が降っていたが、安倍監督は濡れるのもいとわずに語ってくれた。その熱心な話しぶりに、さらに伊勢原トレセンのことを知りたいと思い、改めて取材を申し込むこととなった。

【今年6月に開催されたコパベルマーレでスペインの名門ビジャレアルを追い詰めた伊勢原TC(写真●山本浩之)】
伊勢原市は神奈川県のほぼ中央に位置する。新宿駅から小田急小田原線に乗れば、およそ60分の距離にある。トレセンには市内6つのチームから子どもたちが集まってくる。それぞれ、成瀬サッカー少年団、山王JFC、FCしらゆりシーガルス、SFAT ISEHARA SC、大田FC、高部屋FCに所属している。トレセン活動は原則として月に一回。小学5年生のU-11と6年生を対象としたU-12の2部門があり、伊勢原市立石田小学校で金曜日の夜7時から2時間の練習を行っている。
夜9時になって練習を終えた安倍監督は、子どもたち、スタッフを見送ると「今日も違う地域の指導者の方が3人ぐらい見学に来てくれたんです」と教えてくれた。指導者との交流の輪は伊勢原トレセンのfacebookを通して広がった。もちろん他の地域からばかりではない。伊勢原市内のクラブの指導者も見学に訪れる。安倍監督は神奈川県サッカー協会の技術委員を兼務していることから、「県トレ」と呼ばれる神奈川県トレセンのトレーニングも取り込まれている。
「この場で、僕が指導実践したことを地域の指導者に持ち帰ってもらえば、各チームの子どもたちにも神奈川県のスタンダードとなっているトレーニングを展開することができます。以前のことなのですが、関東の技術委員会で神奈川県の子どもたちに足りない部分として、守備の脆弱さなどの指摘を受けたことがあります。そうした弱さを克服していくには、県トレからではなく、ここ伊勢原から変えていこうという信念を持って、2年ぐらい前から粘り強く指導を行っています」
そして、伊勢原トレセンのような、いわゆる地区トレセンとは何であるのかと問いに、安倍監督はこのように答える。
「地区トレセンは、上手い子だけを集めて強化するとか、強い選抜チームを作ることとかが目的ではありません。ここでサッカーに対する意識が高まるような上質なトレーニングや活動を受けることで視野を広げてもらう。子どもたちが、チームの垣根を越えて刺激しあい、お互いのことをよく知るところでもあり、また上手くなるためのきっかけを自分自身で掴む場なのではないかと思うのです」
子どもたちが所属しているクラブを見ると、強いチーム、強くないチームのようにチーム格差はあるかもしれない。けれども、子どもたちを個々で見てみると、体格や身体能力、技術的にも「それほどの差は感じない」のだという。
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