「個人を大切にしてほしい」。元Jリーガーコーチに掛けた言葉の真意とは
2018年07月16日
未分類現役を引退したサッカー選手は第二の人生を歩み始めます。なかには少年クラブの「サッカーコーチ」という生き方を選択する人もいます。ヴィヴァイオ船橋SCの代表を務める渡辺恭男さんは指導経験が無い元Jリーガーコーチに対して「個人を大切にしてほしい」とアドバイスを送ったそうです。その言葉の真意とは。『裸のJリーガー』より一部転載して紹介します。
文●大泉実成 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images
『裸のJリーガー』より一部転載

「ナベちゃんの教えてる子たちは、ロボットだね」
渡辺恭男さんは千葉県船橋市にあるサッカークラブ「ヴィヴァイオ船橋SC」の代表である。僕が渡辺さんに話が聞きたいと思ったのは、彼がチームのホームページに書いた次のような文章を読んだからだった。
解雇通知を受けた選手と面接をした時の話をサポートセンターの方から伺った。「解雇されるのでコーチで飯を食っていきたい。月給25〜30万円くらい欲しい」。というのがだいたいの要望だそうだ。話してくれた方と聞いている私の2人で笑ってしまった。「甘いですね…」
「渡辺さん!でも本当に多くがそうなんですよ。サッカーが小さい頃から優れていて、そのままプロになったような選手が多いのです。世の中を全く知らないような選手が多い。だから解雇される前の選手の時期から体験研修をさせたいのです」。良く分かる話だった。若いコーチには感謝をしている。
月給と言えるものではないかもしれないが、月ひと桁というのが現状だからだ。名ばかりの代表と言われるかもしれないが私も教員の時に比べれば4分の1以下で生きている」。
元Jリーガーと少年サッカークラブのコーチの意識のギャップが端的に表されている話だった。
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――僕が調べたときは求人で月収15万円前後でした。
渡辺「大体町クラブだと12〜13万ぐらいですね。そこからのスタートだと思います。今ではウチはもう少しいいですが」。
――サッカーがうまいというのとサッカーを教える能力や情熱といったものはまた別なものだと思うんですが、元Jリーガーに関して言うと、その辺はどうですか。
渡辺「あのー、本当に言いたいこと言っていいですか」。
――どうぞどうぞ。
渡辺「プロになった選手というのは、もちろん努力したということはあるけれども、もともと持っている素質もあるだろうし、素質が開花したきっかけもあると思うんです。でもそれと現場で教えるということはまったく違うことなんです。『小学校5年生を教えてください』『中学2年生をお願いします』と現場で言うと、彼らが大体何をやるかというと、普通に高校サッカーとかプロの練習をやるんです」。
――えええ。
渡辺 「自分の経験値と、目の前の子どもの差がぜんぜん見えてない。子どもたちの技術レベルとまったく違うことをやるんです。それがほとんどそうなんです。それはその子達が必要としているトレーニングとまったく違うのに、そういう練習をして、しかも『何でできないんだ』と言いはじめるんですよ。
――うへ〜。
渡辺「しかもそこを真剣に周りの大人が問うていない。これで飯を10年20年食っていくんだったら、これこれのことが必要だって言われないままで、ずっと来てしまう」。
――うーん。渡辺さんご自身は学校の体育の教師としてスタートされて、うまい子もいれば下手な子もいる中で、どうやってうまくするかということを考えていったわけですね。
渡辺「そういうつもりでいたんですけれども、実は僕もサッカーを「教えて」いたんです。で、それで気づかせてくれた方がいたんです。鈴木修人(市立船橋→ギラヴァンツ北九州などでプレー)のお父さんに『ナベちゃんの教えてる子たちは、ロボットだね』って言われたんですよ。『自分で考えてないよ』って。でも言われたときはぜんぜんわからなかったんです」。
――『サッカーとはこうやるもんだ』というイメージが渡辺さんの中に強くあって、それができるように子どもを……
渡辺「…動かしてたんです。それでそこそこ勝てちゃうわけですよ。ロボットだって言われて、おっしゃることはわかったんですけど、じゃあどういう選手が自分で考えてプレーできるのか、っていうのがイメージできなかった。でも、それがずーっと何年も頭に残っていた。で、関西に行ったら、一人一人がボールを持てるんですよ、関東と違って。関東は戦術中心でボールをできるだけ早く動かそうとするんですけど、関西はまるで違っていた。衝撃を受けましたね。これが自分で考えてプレーする選手なんだと」。

【ヴィヴァイオ船橋SCの代表を務める渡辺恭男さん】
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