コラム

サッカーの技術的指導にとどまらない 世界最強クラブFCバルセロナの育成組織

2012年12月07日

2011年、日本から久保建英くんがFCバルセロナのカンテラ(育成組織)に加入した。世界最強と謳われるビッククラブに若干10歳の日本の少年が入った。このニュースはサッカーファンにとって衝撃が走ったのではないだろうか。

FCバルセロナは、世界最強だと誰もが認知するビッククラブだ。しかし、詳細な育成実情となると、日本ではあまり知られてはいない。久保建英くんをサポートする浜田満氏も、FCバルセロナの育成に関する情報収集には苦労していたという。そんなときに現地のある書店にて平積みになっていた書籍が浜田氏にFCバルセロナの育成組織の情報を与えた。その書籍を翻訳し、さらに一部内容を加筆した『FCバルセロナの人材獲得術と育成メソッドのすべて チャビのクローンを生み出すことは可能なのか』(マルティ・ペラルナウ/浜田満監修・カンゼン刊)が12月14日(金)に発売される。

今回のサッカーエンタメ最前線では、本書内より監修・翻訳をした浜田氏の書籍に対する思いを記した「訳者はじめに」と、人間教育にも力を注ぐ世界最強ビッククラブのカンテラ(育成組織)を象徴する部分を紹介したい。

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世界最強クラブFCバルセロナ育成本を訳すにあたって

バルセロナFCカンテラに所属の久保建英くん。今後のさらなる活躍が期待できる(写真●株式会社Amazing Sports Lab Japan)

本書監修・訳 浜田 満
「今日から君はバルサの選手だ」。2011年4月3日、日本人が初めてバルサのカンテラ選手になった瞬間に立ち会った。歴史的な瞬間だった。この瞬間に幕が閉じれば、僕は幸せな気持ちのままいられたかもしれない。しかし、現実はその瞬間が幕開けだった。このストーリーはハッピーエンドに終わるかもしれないし、1年で打ち切りになるかもしれない。

その日本人の名前は、久保建英(くぼ・たけふさ)君。彼はまだ8歳だった09年8月、日本で開催されたFCバルセロナキャンプに参加し、MVPを獲得。そしてFCBエスコラ(以下バルサスクール)選抜の一員として参加したベルギーの国際大会で、やはりMVPを獲得した(チームは3位)。その後、当時バルサスクール選抜を引率していたオスカル・エルナンデスコーチの推薦により、バルサカンテラのトライアルを受けることになった。とはいうものの、当時バルサのカンテラでは13歳未満の外国人を獲得するという前例がなかった。バルサからも「建英はテストが終わったら日本に帰り、日常を過ごすことになります。彼がバルサのカンテラのレベルにあることがわかったとしてもです」という条件が付けられていた。そのため、建英君がバルサに入団できる可能性についてはかなり低いと考えていたし、万一トライアルで評価されたとしても「13歳になる年まで待ってほしい」という回答が来るのではないかと想像していた。

しかし、実際にはトライアル3日目の3月31日にはバルセロナに移住することについての意思確認があり、4月3日にアルベルト・プッチ氏のオフィスで冒頭の言葉をもらうことになった。バルサの選手になったらどういう人生が待っていて、どういうリスクがあるのかなど、建英君のご両親だけではなく、僕自身もほとんどわからなかったため、その日から情報集めに奔走することとなった。

本書は、その情報集めのために向かった書店に平積みにされていたものだ。カタルーニャ語では『エル・カミ・デルカンピオンズ~デ・ラ・マシア・アル・カンプ・ノウ』(チャンピオンへの道~マシアからカンプ・ノウへ)というタイトルで、ぱらぱらとページをめくっていくと、まさにこれからバルサでの人生を過ごしていく建英君にとって有益な情報が網羅されていた。

FCバルセロナの組織形態

僕は、本書が日本の指導者や、クラブ運営に携わる人にとっても非常に参考になると感じたため帰国後、出版社に相談し、翻訳出版していただけることになった。本書は、2011年3月にカタルーニャ語版、5月にスペイン語版が出版されているため、建英君自身についての記載はない。そのため第6章に「日本人がバルサでプレーするということ」という題目で僕自身が加筆した。またコーチや関係者の役職、所属チーム等は、スペインで原書が発売された当時の所属先、肩書のままとしている(文章構成上、一部の人物については現在の所属先を記載)。

これまで日本においてはバルサのプレー面のみに焦点が当たることが多く、バルサの人間教育の具体的な情報はほとんどなかった。もちろん、バルサの行なう教育の全てが素晴らしいと言うつもりは毛頭ない。だが日本人にとっても参考になる部分が少なくなく、日本の教育事情を考慮しながら、参考にできる部分はぜひ参考にしていただければと思う。私見ではあるが、個人的にはバルサの育成に関して言えば、本書があれば他の本は必要ないのではないかと言えるほどの情報量と具体的記述が盛り込まれている。

最後に、バルサで日本人として一人で戦っている久保建英君が日々直面している世界を見てもらい、「バルサで日本人がプレーすることとはどういうことなのか」を感じてもらえればと思う。

※『FCバルセロナの人材獲得術と育成メソッドのすべて チャビのクローンを生み出すことは可能なのか』・「訳者はじめに」より抜粋。次のページより本文の一部を紹介

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