コラム

池上コーチの一語一得・特別編 子どもを伸ばすために親ができること

2014年05月31日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は特別編と題し、池上正さんにお聞きした子どもを伸ばすために親ができるコミュニケーション術をご紹介します。

構成・文●島沢優子

6月6日発売『ジュニアサッカーを応援しよう! vol.33夏号』P131-133より一部転載


親の思いが強すぎるのは、逆効果

お父さんも、お母さんも、子どもがうまくなること、チームが強くなる(勝てるようになる)ことを求めすぎると思います。親の思いが強すぎて、子どもをがんじがらめにしてしまう。自由にさせていないことで、逆効果になっているのです。

例えば、よく言われる過干渉。多くの場合、サッカーやスポーツを経験した人が陥りやすい大きな穴が「親の経験をそのまま押しつけてしまう」ということ。

ジェフ時代に中学生を1年間みたことがあります。ある日、雨の日の試合でひとりの選手が取り替え式のポイントがついたスパイクを履いていました。そのグラウンドは土が硬いため、雨でもぐちゃぐちゃになりません。

「どうしたの? 君のスパイク、高下駄みたいだね。それでは地面に刺さらないよ」と、私はスパイクをはき替えることを提案しました。ですが、その子は「父が履いていけと言ったから」と言い、頑として履き変えませんでした。

私は「君はどこのチームでサッカーをしているの? ジェフでやっているのならコーチは私だよ」と話しました。試合のたびに、自宅でいろいろと指示をされているようでした。

でも、そのうちその子は変わりました。「サッカーのことでもういろいろ言うのはやめてくれ」と言って親御さんとケンカをしたそうです。

「あの子があんなことを言うなんて驚きました」とお母さんは目を丸くしていました。親に反抗するのは自立への第一歩です。最後まで見届けることはできませんでしたが、その子は徐々に変わっていきました。

同じく、思いが強すぎて「与えすぎる親」になってしまうのも危険です。あるお母さんが私のところへ来て言いました。

「池上さん、夫がラダ―や指導のDVDを買ってきて子どもにやらせよう、観させようとしますが、子どもはやりません。それでイライラして子どもと衝突しています」

せっかく子どもが楽しそうにサッカーをしているのに、親のほうが「もっとうまくなれ、もっと強くなれ」と先導してしまうと、子どもにとっては大きなストレス。サッカーはいつの間にか楽しいものではなくなってしまいます。

そのお宅は、試合中にお父さんがあまりにも「ダメだ、ダメだ」と怒鳴るので、お母さんが「もう帰ったら?」とお父さんを家に帰してしまったと言います。

池上先生

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

カテゴリ別新着記事

ga


school_01 都道府県別サッカースクール一覧
体験入学でスクールを選ぼう!

おすすめ記事


Twitter Facebook

チームリンク