熱きイタリアの守護神・ブッフォンが抱く 代表戦への誓い
2012年06月29日
サッカーエンタメ最前線「UEFA EURO 2012」のファイナルはスペインとイタリアが対峙する。今大会のイタリアは攻撃的なサッカーに変貌を遂げた「新生イタリア代表」として位置づけられることが多い。とはいえ守備の強さに関しても、ファイナリストとして綻びを感じることはない。その守備陣を支えるのが、イタリアが誇る絶対的な守護神のキャプテン、ジャンルイジ・ブッフォンである。『フットボールサミット第7回』(6/19発売)の宮崎隆司氏のコラムでは、代表としてチームを護る、守護神の思いや人となりが描かれている。
————————————————————————————–
祖国の為にゴールを守るブッフォン
これまで無数の選手や監督らを取材し、間近に見てきた経験から明言できるのは、ここイタリアにおいて現代表の主将を務めるGKジャンルイジ・ブッフォンほど〝男気〟に満ちた男は他にいないということ。彼は代表戦が行われる度に公の場で、たとえ単なる親善試合であってもそれを決して軽視することなく代表の意味を滔々と語り、最後は必ずこの言葉で締める。
「自分が国を守る」
無論、ここで言う国とは、ブッフォン自らの背後にあるゴールを指した比喩であるが、その言葉には、名誉、誇り、威信、あるいは先人たちへの敬意といった類いの意味が明確に込められている。
思い出されるのは、06年にドイツの地で世界を制した直後の彼の言葉、または08年のユーロでスペインに敗れた直後の弁、さらには10年に南アで惨敗を喫した直後の言葉だ。
06年、ベルリンの歓喜の中で彼は「この勝利をすべての同胞と国家に捧げたい」と涙ながらに語り、08年にPK戦の末スペインに屈すると「国の誇りを守れずに申し訳ない」と述べ、先の南アでは初戦で故障した身であったのだが、またも同じように、「この屈辱の全責任は俺たち選手にある」と言って頭を下げた。
それこそ親善試合ともなればクラブを優先し代表への招集を拒む選手が少なくはないない中で、だがそれを直接的に批判するようなことは一切せず、その代わりにブッフォンは常に、いかなる場合であっても〝代表戦の意味〟を公の場で説き続けてきた。
さらに言えば、件の彼の言葉「国を守る」は、その「守る」を敢えてより正確な日本語に訳せば「護る」となる。
そう思わせるだけの重みと真摯なる姿勢がGKブッフォンの言葉には凝縮されている。
したがって、このブッフォンが説く意味に即して『代表戦の意味』を、または『代表の意味』を考えれば、答えは自ずと導き出されると言えるはずだ。
俗にいう『グローバリズム』なる思想が世界を席巻し、経済はもちろん他のあらゆる分野にもその無秩序な思想が蔓延る中で、当然―およそ一クラブとは言えない、むしろ多国籍集団の世界選抜ともいうべきチームが多いという事実が雄弁に物語るように―サッカーもまた例外ではない。
つまり、要はそうした潮流に常に疑問を呈してきたのが、自らを「ナショナリスト」と言って決して憚ることのないブッフォンの言葉ということになる。
余談ながら、このブッフォンに関してはひとつ忘れ得ぬ思い出がある。
それは、昨年に日本を襲ったあの未曾有の大災害、東日本大震災の直後のこと。
某雑誌の命を受け彼に日本へのメッセージを依頼した際、こちらが用意した色紙を手にしたブッフォンは、およそ3分以上も眼を閉じては言葉を懸命に探し、パッと目を開くとひと言だけを真っ白な紙に力強く書いてくれた。その言葉は、『Battersi』。
いくつかの訳が考えられる言葉だが、それはつまり『奮い立つ』、または『苦難に屈しない』という日本語になる。その言葉を書いた後、被災地と被災者への想いを、ここでも彼は滔々と語った。それだけでなく傷ついた祖国に胸を痛める筆者の肩を抱き励ましてくれた姿は生涯忘れることはない。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
東北トレセン女子U-14が開催!2025.10.24
-
東北トレセンU-14が開催!2025.10.23
-
【JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦】参加メンバー発表!2025.10.22
-
U-15日本代表、フランス遠征参加メンバー発表!【バル・ド・マルヌトーナメント2025】2025.10.21
フットボール最新ニュース
-
鈴木唯人が貴重な先制点でチームを勝利に導く【23日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
日本人対決でリバプールが5Gで圧勝【22日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
バルセロナが6発大勝。エースもゴール【21日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
日本人選手所属ザルツブルクは後半AT弾で敗戦【25日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
ベティス、マンUから完全移籍の7番が劇的同点弾【24日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 【JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦】参加メンバー発表!
- U-15日本代表、フランス遠征参加メンバー発表!【バル・ド・マルヌトーナメント2025】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 成長期におとずれる「クラムジー」に対して保護者と指導者は何をすべきか?
- “早熟タイプ”か“晩熟タイプ”か。成長のピークはいつ訪れる? 子どものタイプを知ろう!!
- 4種(小学生年代)を支える町クラブの存在意義とは? サッカーが日本の文化となるために改めて考えなおしたいこと
- 「目指すサッカー」がない指導者が明確な言葉を子どもに伝えられると思いますか?【10月・11月特集】
- 【第39回全日本少年サッカー大会】長崎県大会 決勝フォトレポート&大会結果「V・ファーレン長崎が創設5年目で初の全国大会出場を果たす!!」
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- 【第94回全国高校サッカー選手権大会】高校サッカー選手のジュニア時代 北海道・東北














