8人制サッカー導入から見る、 日本のジュニアサッカー界の未来
2013年05月08日
コラム2011年度から全日本少年サッカー大会が8人制に変わりました。育成年代に少人数制サッカーが導入されることによって、何が変わったのでしょうか? 何を変えていかなければならないのでしょうか? 今一度、8人制サッカーの導入の意味を考えていきたいと思います。
文●鈴木康浩 写真●編集部
※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.23冬号』P106-109より転載
8人制サッカー導入の 意味とは何か?
かねてから少人数制サッカーを推進してきた日本サッカー協会が、今夏の全日本少年サッカー大会(以下、全少)で8人制を導入した。全少に出場することは、この年代の選手や指導者にとってひとつの目標であり、本誌でも8人制導入による影響の大きさや、各方面の慌ただしい対応を繰り返し伝えてきた。
そもそも、日本サッカー協会はJリーグ開幕の頃から、4種年代に少人数制サッカーを普及・定着させようとさまざまな取り組みを行ってきた。
少人数制サッカーは、「個を育成する」ことに主眼を置いたものだ。個人のボールタッチ数を増やす、ゴール前の攻防を増やす、果敢なチャレンジ精神を促すなどを大きな目的にしている。
これまでジュニア年代では、全農主催のチビリンピックが8人制で、世界大会への切符が懸かるダノンネーションズカップが9人制でそれぞれ行われてきた。そして今夏、全日本少年サッカー大会も遂に競技形態が11人制から8人制へと変更された。
日本サッカー協会が全少で「8人制」を採用した理由のひとつとして、(1)2-3-2のシステムを推奨しながら、「ディフェンスラインで人数を余らせず、マンツーマンで対応できる個の能力を養うため」であった(大事な視点は、システムの形ではなく、人数を余らせないという部分である)。
こういったメッセージを日本サッカー協会が発信していくことで、4種年代の指導者とともに先ほど述べた少人数制サッカーのメリットを共有しながら「個」を育成し、将来的に日本サッカー界の強化・発展を目指しているのである。
ポジティブな意味で少人数制サッカーの意義を考えよう
では、8人制が導入された今夏の全少にどうだったのだろうか。最終日に、日本サッカー協会元技術委員長で当時、少人数制サッカーの推進役を務めた小野剛氏にインタビューすることができたので、いくつかポイントだけ記しておこう。
「(1次リーグから準々決勝までの試合を分析すると)ゴール前のシュート数は1試合平均※24本、ゴールキーパーも1分に1回はプレーに関与している。これは大きな成果だと思います」
※決勝まで含めると22本
「8人制では自ずと1対1の局面が多くなります。ひとりが抜かれればピンチになるし、突破できればビッグチャンスです。その意味では、大きな責任感で1対1のバトルが繰り広げられていると思います」
「前でボールが奪えればビッグチャンスになると子どもが気づき、積極的にリスクを負ってチャンレンジするチームも多かった。後押しする指導者も増えていますね」
今年は、本格的に8人制サッカーが始まった、いわば1年目である。当初の目標に向かって、よかった点、改善点をポジティブな視点で今後、日本サッカー協会をはじめ各都道府県や地域でも検証し、少人数制サッカーに対する考えや指導がより幅広く浸透されることが期待される。
カテゴリ別新着記事
ニュース
- U-19日本代表メンバー発表!【AFC U20アジアカップ中国2025予選】2024.09.13
- 「2024ナショナルトレセンU-14 中期」参加メンバー発表!2024.09.05
- U-17日本代表メンバー発表!【第26回国際ユースサッカーin新潟】2024.09.04
- U-15日本代表候補、国内トレーニングキャンプ参加メンバー発表!2024.09.02
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- “生意気小僧”原口元気の少年時代。「試合中、僕に怒られて仲間は大変だったと思います」
- 原口元気選手が乗り越えてきた壁。中学時代に訪れた心と身体の変化
- U-19日本代表メンバー発表!【AFC U20アジアカップ中国2025予選】
- 【第17回国際交流サッカー大会U-12前橋市長杯】予選リーグ1日目組み合わせ
- 成長期におとずれる「クラムジー」に対して保護者と指導者は何をすべきか?
- U-15日本代表候補、国内トレーニングキャンプ参加メンバー発表!
- 2019年度「JFAフットボールフューチャープログラム トレセン研修会U-12」参加選手768人を発表!!
- “和食”はサッカー選手にとって最高の食事? 元名古屋グランパス監督・ストイコビッチ氏「もし日本に来ることなく欧州でサッカーを続けていたら…」
- 人生最大の挫折――。本田圭佑がガンバユースに昇格できなかった本当の真相【後編】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉