子どもがサッカーを楽しむために親にできること・チームにできること

2013年07月11日

コラム

「プレーヤーズ・ファースト(=選手のことを一番に考える)」を念頭においたとき、親の立ち位置、チームの指導法はどうあるべきなのでしょうか。クラブとして親の心得を明確に掲げて活動している創部20年の強豪チーム、川崎ウィングスF.C. 。練習中のグラウンドを訪ね、鈴木哲夫代表に親のサポートの仕方、チームのあり方について伺ってみました。

文●戸塚美奈 写真協力●川崎ウィングスF.C.

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.29夏号』P128-131より転載

 


 

“強いチーム”よりも“良いチーム”を目指して

――――川崎ウィングスでは、保護者向けに『応援の手引き』なるものを配っているそうですね。

 子どもたちがサッカーを楽しく続けられる環境を作ためには、お父さんお母さん、コーチも含めて、チームに関わる人たちのベクトルを合わせていくことが大切だと考えています。川崎ウィングスでは、『応援の手引き』以外にも、理念、組織、指導法などをしっかり文章化してチームで共有しようという方針になっています。

――どのようなキッカケで『応援の手引き』を作られたんですか?

 現在の『応援の手引き』は、20年前のチーム立ち上げのときに、ホームページに掲載した文章が元になっています。

 私自身、体育会系の一方的な指導って何か違うよなと疑問を感じたところから、川崎ウィングスでは、子どもと親が一緒になって楽しめるようなチームにしたい、生涯サッカーを楽しむことを目的にしたい――そういう強い思いを持ってチームを立ち上げました。そのとき考えたことのひとつが、「応援マナーや子どもに対する親の立ち位置はどうあるべきか」ということだったんです。それを保護者の方に伝える手段として、一枚のプリントにまとめました。

――保護者の方の反応はいかがでしたか?

 やはりプリントにして配るとわかりやすいようで、それまで以上に保護者の理解を得られるようになったと思います。

 他にも、チーム内で意識的にしているのは、試合をした相手に「強いチームだね」と言われるよりも、「良いチームだね」と言われるようにしよう、ということ。試合をしたときに、すがすがしく、礼儀正しく、みんなが楽しんでいるように見えるチームになりたい。このことはチームのみんなに伝わっていて、実践できていると思っています。

 実際、大会などで「親御さんのマナーがいいですね」とほめられることも多いんです。『応援の手引き』の効果かどうかはわかりませんが、チーム内での意識統一に何かしら役立っていると思います。チームのホームページにも掲載しているのですが、他チームから「転載させてください」と申し出をいただくこともあります。

――子どもたちへの指導で心がけているのはどんなことですか?

 できるだけ子どもたち自身に、自分で考えさせるように心がけています。選手たちが自分たちで話し合っているときは、ハーフタイムでもなるべく指示を出さないようにして。ただし、声も出ず、チームの雰囲気が悪いときには、個別に具体的な修正点を伝えるようにしています。『もっとがんばれ!』というような抽象的な指示は少ないですね。

――このようなチーム作りをする際に、参考にしたチームはありますか?

 お手本とさせていただいたのは、静岡県の清水にある江尻サッカースポーツ少年団です。日本で一番最初にできた少年サッカーチームで、歴史は50年以上。父母会をしっかり作ってサポートするという方針でチームを運営されていました。

 20年前に伺ったときは、チームの代表の方の息子さんが監督で、チームにはお孫さんがいて。親子3世代でサッカーを楽しんでいる姿に感動しました。しかもサッカー王国・清水ですから、町中の人がサッカーをやっている。川崎もサッカーが盛んな町ですが、清水にはまだまだ追いつけません。

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