そのコトバ、本当に大丈夫!? コーチングのプロが語る会話術~親子の会話から変えてみよう!【後編】

2013年11月21日

コラム

「なんでウチの子だけ……」と深刻に受け止めないで

 子どもががんばっているのになかなか試合に出してもらえないとき、親は自分の子どもが意地悪されているような、かわいそうな気持ちになりますね。でも、サッカーが好きな子なら、どんな場合でも「チームを辞めたくない」と言うことでしょう。

 仮にこのような場合に、「なんでコーチは、おまえだけレギュラーはずすの? あの子だって調子悪いのに」なんて、お母さんが言おうものなら、一番つらい思いをするのは子どもです。

 親は、「自分が何とかしてあげたい」と思うかもしれませんが、子どもとしては、深刻に受け止めているお母さんやお父さんを見ることの方がつらいのです。

 こういう場合は、自分の子どもだけに焦点をあててみてください。ほかの子と比べたりしない。コーチや指導者も関係ない。そうしたら、いいことがいっぱい見つかるし、子どもにも伝えられますよね。

「お母さん、おまえのこと本当にえらいと思う。ベンチに下げられても、文句ひとつ言わずにがんばってるし、サッカーを続けてる。それだけですごいと思うよ。ほんとにサッカーが好きなんだね。サッカーって、何がおもしろいの?」

 そんなふうに聞いてみたらどうでしょうか。いきいきと、サッカーのおもしろさを話してくれるし、子どもの気持ちも軽くなっていくはずですよ。

 誰に教わらなくても、赤ちゃんが立って歩くように、本来、人間には学習して習得する能力があるのです。それを、えてして、周りの人間が邪魔している。上達を邪魔しているものを取り除き、本人が自分の内側と対話できるようになれば、スポーツは自然にうまくなります。

 考えて選択し、行動するのは子ども自身。サッカーが大好きなお子さんの可能性を信じて、100パーセント味方になってほしいと思います。

 


【谷口流 子どもへの質問フレーズ~サッカー編~】
質問するのは簡単なようで難しく、問いかけや相槌は言葉が口慣れていないとなかなか出てこないものなんです。こんな例文を用意しておき、ひと声からでもぜひ試してみてください。

□サッカーやっていて一番楽しいのはどんなとき?
□サッカーで、自分がちょっと自慢できることって何かな?
□シュート(パス、トラップ、相手をかわせたとき.etc)がうまくいったときはどんな気持ちになるの?
□どうしたら、もっとそのシュート(パス、トラップ、相手をかわせたとき.etc)が上手になるかな?
□今日の試合は何がうまくいったの?
□大きくなったら、どんな選手になりたい?
□もしおまえがこのメンバーだったら、どこのポジションで、どういうプレーをする?

▼ポイント
☆強制や押しつけにならないのが大切
☆答えがなかなか出てこなくても、大人からヒントを与えない

 このフレーズはサッカーだけでなく、普段の会話でも使えます。勉強でも趣味でも相手が得意なことを入れて使ってみましょう。

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プロフィール
谷口貴彦(たにぐち・たかひこ)

1959年生まれ。プロ・コーチとして2003年に独立。コーチ・セブンピースを立ち上げる。独立1年目に執筆・監修した『実践 親子会話術』が話題となり、以降、セミナーや講演依頼が殺到。ユーモラスな内容で好評を博している。著書に『ザ・コーチ The Coach ─最高の自分と出会える「目標の達人ノート」』(プレジデント社)。
コーチ・セブンピース公式サイト

 


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