「夢に向かうシンプルな生き方」を追求し続ける本田圭佑選手が歩んできた半生とは?
2014年06月07日
読んで学ぶ/観て学ぶ大人のフットボーラーに成長。世界の本田へ
15歳の本田の悲壮な決意を、田中監督もしっかりと受け止めた。
「『先生、俺、選手権に切り替えるわ』と明るく言いにきたのを、よく覚えています。夢は絶対に譲らんけど、その道筋は臨機応変に修正できる。それが圭佑やと思います」
星稜時代の本田は1日も練習を休まず、プロを目指した。1年のときは自他ともに認めるエゴイストだったが、3年生のキャプテンから「お前のアピールしたい気持ちはわかる。だけどひとつのチームだ。試合にも勝ちたいだろ。そのためにはパスを出さなければいけないときもあるんだ」と諭され、徐々にチームプレーに徹し始めた。
3年のときには河崎監督がミーティングで指示を出した後、再び本田が選手全員を集めて再確認するほど、チームの結束を第一に考えて行動するようになったという。
そうやって大人のフットボーラーに変貌した本田はプロになる目標を叶え、2005年に名古屋グランパスでJリーガーとしてデビュー。3年後にはオランダのVVVフェンロへ移籍し、海外進出の夢も実現させた。フェンロ在籍時には2部降格や北京五輪での惨敗、日本代表落ちなどの屈辱も味わったが、「俺は絶対に這い上がりますよ」という力強い言葉の通り、目覚ましい飛躍を遂げ、世界に名を轟かせる存在になった。
「何のためにサッカーやっているのかというと、もっとうまくなりたい、強いやつらに勝ちたい、世界中に認められたいから。そう考えると本田圭佑はまだまだレベルが低い。このままじゃホントの意味での夢や目標にはとてもじゃないけど到達できない」
2011年アジアカップ(カタール)でMVPを獲得した際、本田は飽くなき野望を口にした。そんな教え子に田中監督はこんな注文をつけた。
「夢に向かうシンプルな生き方が一番ラクで楽しいことを多くの人に伝えてほしいです」
本田圭佑のチャレンジは今も、この先も果てしなく続いていく。
<プロフィール>
本田圭佑
(ほんだ・けいすけ)
1986年6月13日、大阪府摂津市生まれ。小学2年生からサッカーを始め、10代の頃から年度別代表で活躍してきた。高校3年生時の高校選手権では、石川県勢初のベスト4進出に貢献した。在学中の2004年に名古屋グランパスの特別強化指定選手となり、卒業後は名古屋に入団し、1年目から試合に出場するなど、チームの中心選手として活躍。08年1月、オランダのVVVフェンロへ移籍。その年チームは2部に降格したが、翌シーズンは36試合に出場し、16ゴールを挙げる大活躍でチームを1部復帰へと導く。その後に移籍したCSKAモスクワでもチームの主力としてけん引。海外での活躍が評価され、ワールドカップ南アフリカ大会日本代表に選出されると、グループリーグ初戦のカメルーン戦で決勝点をあげるなど、ベスト16進出の原動力となる。14年1月に、イタリアの名門ACミランに完全移籍を果たした。
元川悦子
(もとかわ・えつこ)
1967年、長野県生まれ。業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーランスのサッカージャーナリストとして活躍中。現場での精緻な取材に定評があり、Jリーグからユース年代、日本代表、海外サッカーまで幅広く取材。著書に『古沼貞雄・情熱』(学習研究社)、『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(NHK出版)、『高校サッカー監督術 育てる・動かす・勝利する 』(小社刊)などがある。

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