美しく危険な男・ディエゴ・フォルランの知られざる生い立ちとは? 

2014年08月22日

サッカーエンタメ最前線

元ウルグアイ代表の父が惚れ込むディエゴの才能

 1978年にブラジルを離れてウルグアイに戻った時、パブロと妻ピラールの間にはすでに3人の子供がいた。

 二人は、長男パブロ、長女アドリアーナ、次女アレハンドラの下にもう一人男の子が欲しいと願っていたところ、ディエゴを授かった。

 ディエゴは、とにかく活発で好奇心旺盛な子どもだった。目に入るもの全てに興味を抱き、何でも素早く習得した。

 特に幼い頃からボールを使った遊びが大好きで、サッカーボールを蹴るだけではなく、バスケットボールを投げたり、自分の身体よりも大きなラケットを持ってテニスボールを打ったりと、様々な球技に挑戦した。

「私の子どもたちは皆スポーツが得意だったが、中でもディエゴは運動神経がよく、走り回るところを追いかけてもうまく逃げていたものだ」

 パブロはディエゴが幼児の頃から、我が子の俊敏性に気づいていたという。

 週末になると、母ピラールに連れられて、フォルラン家の子どもたちは近所の「カラスコ・ラウン・テニスクラブ」に出かけた。

 カラスコ地区の裕福な人々だけが集まる会員制のスポーツクラブで、その名のとおりテニスがメインの活動だが、水泳やパドルテニス(ミニテニスのようなもの)、スカッシュ、サッカーなど様々なスポーツができる最新の設備が整っていた。

 ディエゴはここで、5歳のときからテニスとサッカーを始めた。どちらも非常に巧く、同年代の子どもたちと比較すると、明らかに大きな差があった。

「身体の動かし方が全然違っていた。私はすぐ、あの子の身体はコーディネーションに優れていることに気づいたんだ」

 パブロの言うコーディネーションとは、手や足を使いながら身体の他の部分も的確に動かす能力のこと。

 テニスにおいてもサッカーにおいても、正しいフォームでボールを「打つ」「蹴る」ときに必要なスキルである。

 それだけではない。フォームは練習によって改善できるが、ディエゴには他の子どもには真似できない特性があった。スピードである。

「サッカーでもテニスでも、足の速さで他の子どもたちとは一線を引くプレーを見せていた。サッカーではゴール前でマーカーを追い越し、テニスでは届かないと思われるボールにも追いついて打ち返していた」

 パブロは、自分自身がそれほど俊足ではなかったため、「確実に祖父の血を引き継いでいる」と確信したという。

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