美しく危険な男・ディエゴ・フォルランの知られざる生い立ちとは? 

2014年08月22日

サッカーエンタメ最前線

サッカーより先にテニスでプロ転向を薦められる

 やがて、ディエゴはテニスで頭角を現すようになり、クラブ対抗の大会でも優勝するようになった。コーチたちはディエゴの才能を高く評価し、パブロに何度もプロへの道を勧めた。

「しつこいほど言われたよ。絶対にテニス選手として成功するとね。優れた指導者がそろうアルゼンチンに行かせるべきだとか、必要ならば紹介状を書くとか、とにかくディエゴのプレーを見た誰もがその素質を疑わなかった」

 ディエゴ自身もテニスが大好きで、小学校高学年の頃から「プロ選手になる」というアイデアはまんざらでもないと思うようになったが、サッカーも続けていたため、平日も週末も、両方の練習と試合を両立させていた。

 さらに学業も怠ることなく、「クラブに行くのは必ず勉強を済ませてから」という母からの教えを守っていたが、時間がないときはクラブに着いてから宿題に取り掛かっていた。

 当時サッカーのコーチを務めていたミゲル・モレイラは、ディエゴのことを「非常にユニークな子だった」と話す。

「私の頭の中に残っているディエゴのイメージは二つ。一つは、教科書が入った大きなリュックを背負って、右手にサッカーボール、左手にラケットを持ったディエゴ。もう一つは、マーカーたちの間をすり抜けて一瞬のうちにゴール前に飛び出し、得点を決めるディエゴ。あの子を言葉で表すとしたら、情熱とスピード。自分がやることの全てにおいて努力を惜しまない情熱と、驚くほどの速さが、昔からディエゴのトレードマークだった」

 息子がテニス選手としての素質を称賛される一方で、パブロはディエゴにサッカーの才能を見出していた。

 祖父の世代から引き継がれるサッカー選手としての血が、ディエゴに間違いなく流れていると信じて疑わなかった。

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