育成年代でよく使う「飛び級」。どう活用する?
2015年03月13日
コラム飛び級させる前にじっくり考えておきたいこと
いかがでしょうか。これでは本来の飛び級の意味をなしていないように思います。
では、どうすればいいのか。私個人の意見ですが、下の学年から上げる子を常に入れ替えてあげるのもひとつのやり方です。
大会ごと、試合ごとで数人ずつやらせてみる。「みんな、上の学年で経験しておいで!」と言って送り出します。練習も、上の学年と練習するときもあれば、同級生と一緒のときもある、というふうに行き来させてあげる。そんな工夫です。頻繁に交替させていれば、保護者からの文句は出ないと思います。
反対に、子どもを「上の学年で戦力になるか、ならないか」だけで判断して動かすやり方は、賛成できません。
試合に出してみて、ダメだったらまた下の学年に戻す、といったことを繰り返していると、周囲の子どもや親から「上の学年じゃダメだったみたい」と言われ、関係がギクシャクします。
私は飛び級に反対ではありません。でも、これまでお伝えしたことも含めて、さまざまなことを考えて行うべきです。
ですから、冒頭で「悪いことではない」と話しました。積極的に飛び級を行う場合、まず正しい認識をもったコーチのもとで、選手や保護者をきちんとケアしましょう。
例えば、上でやらせたい子については、その子の同級生との関係を壊さないよう気をつけて。4年生が6年生に入るのであれば「すごい!○○君、頑張って!」と仲間に言ってもらえる子なのか、もしくはそういった空気感のある学年かどうかの判断も必要です。
また、上の学年に行った場合、話がかみ合わない、話題が合わないといった部分も出てきます。5年生を中1とやらせるヴェルディは、周りのケア方法が確立されているのでしょう。
飛び級に対して不慣れなチームであれば、まずはひとりだけでなく2~3人一緒に上げてもよいですね。ただし、着手する以前に、クラブ内でコーチ全員がじっくり話し合い、保護者にきちんと説明することが必要でしょう。
<関連リンク>
・少年サッカーは9割親で決まる
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プロフィール
池上 正
(いけがみ ただし)
1956 年大阪府生まれ。2012 年2 月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクター。著書に11年12 月現在で14 刷と版を重ねるベストセラー『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11 の魔法』『サッカーで子どもがみるみる変わる7つのビジョン目標』(ともに小学館)。DVDブック『サッカーで子ども力をひきだすオトナのおきて10』(監修=カンゼン)。近著に『叱らず、問いかける??子どもをぐんぐん伸ばす対話力』(廣済堂出版)がある。大阪では子育て支援センターでアドバイザーを務めたこともある。
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