日本代表の主将・長谷部誠に見る真のキャプテンシー。リーダーに必要な”資質”とは何か?

2015年10月07日

メンタル/教育
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W杯3大会連続で日本代表のキャプテンを務める長谷部誠選手(青島東SSS/藤枝市立青島中/藤枝東高))。”大金星”を飾ったロシアW杯初戦のコロンビア戦でも試合中は常に声をかけてチームを鼓舞する姿が印象的でした。日本代表の絶対的支柱である長谷部選手がリーダーとして、周囲から頼られる理由はどこにあるのでしょうか。

文●元川悦子 写真●Getty Images

ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.36』より一部転載

※この記事は、2015年10月7日に掲載されたものを再編集したものです。


SARANSK, RUSSIA - JUNE 19:  The Japan team celebrates victory following thier victory in the 2018 FIFA World Cup Russia group H match between Colombia and Japan at Mordovia Arena on June 19, 2018 in Saransk, Russia.  (Photo by Elsa/Getty Images)

どんなときもチーム最優先の行動を取れる「天性のキャプテン」

 2015年アジアカップ準々決勝・UAE戦(シドニー)。開始早々に失点し、そこからシュート35本を放ちながら柴崎岳(鹿島)の1点しか奪えず、延長・PK戦へと持ち込まれてしまった日本。そのPK戦で1番手の本田圭佑(パチューカ)、6番手・香川真司(ドルトムント)の両エースがまさかの失敗。アジア連覇の夢ははかなく消えた。

 最後にミスした香川が呆然と立ち尽くし、号泣するところに、キャプテン・長谷部はすぐさま駆け寄り、肩を抱いて励ました。

「何回もチャンスがあったのに、そこで決めきれなかったのが、こういう結果につながった」と彼は香川らに敗因を押しつけるのではなく、あくまで全員の問題だと強調した。自分自身も悔しかったに違いないが、そういう感情を押し殺して、どんなときもチーム最優先の行動を取る。そういう立ち振る舞いができるからこそ、長谷部はアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ両代表監督から「天性のキャプテン」と称されたのだろう。

 彼が日本代表で初めてキャプテンマークを巻いたのは、2010年南アフリカワールドカップを直後に控えたイングランド戦(グラーツ)だった。直前の韓国との壮行試合(埼玉)で惨敗してチームが揺れ動く中、岡田武史監督は「流れを変えたい」と長谷部を抜擢したのだ。

 しかし当時のチームには川口能活(SC相模原)、中澤佑二(横浜FM)らベテランがいた。川口は「チームをまとめてほしい」と指揮官から直々に請われて代表復帰し、中澤もアジア予選からずっと主将を務めていた。そういう経緯があるから、長谷部も複雑な立場に戸惑ったことだろう。それでも懸命に大役を果たしてベスト16進出に貢献した。

 が、本人は「僕はキャプテンらしいことを何もしていなくて、能活さん、ナラ(楢崎正剛=名古屋)さん、佑二さんがチームを引っ張ってくれた。プレッシャーも何もなくやれました。僕は今でも佑二さんがキャプテンだと思っているし、一時的に預かっているだけという気持ちです」と謙虚な物言いを崩さなかった。こうしたバランス感覚や調整力は、チームの中堅選手だった南アの頃から光るものがあった。

PRETORIA, SOUTH AFRICA - JUNE 29:  Makoto Hasebe of Japan walks down the tunnel ahead of the 2010 FIFA World Cup South Africa Round of Sixteen match between Paraguay and Japan at Loftus Versfeld Stadium on June 29, 2010 in Pretoria, South Africa.  (Photo by Jeff Mitchell - FIFA/FIFA via Getty Images)

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